現時点でアベノミクスに評価を下すなら
週刊誌は見出しが勝負だ。派手な「見出し」をつけて、読者を引き込めば勝ちだ。
著者が執筆した原稿でも、見出しだけは、週刊誌の編集者が勝手につける。このお約束は常識だ。
「週刊現代」2016年2月27日号に、筆者が応じたインタビューが掲載されている。内容は、2014年4月からの消費増税が日本経済に与えた影響について論じたモノだ。本コラムの読者であれば、何回も読んだことのある話である。
ところが、その見出しは「アベノミクスついに沈没 『消費税8%』がすべての間違いだった」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47957)となった。これに多くの人が反応したようで、記事の反響も大きかったようだが、これは週刊誌の編集者の勝ちだ。みんな、編集書の思うツボになったわけだ。
その中身は、2014年4月からの消費増税は日本経済に悪影響を与え、GDP20兆円分を減らしたことになるというものだ。取材時には次の図をつけて説明したが、週刊現代には載っていない。だからここに載せておくが、この図は、消費増税前の成長傾向(駆け込み需要を除く)を延長して、増税がなかった場合の成長を示している。
図こそ載っていなかったが、インタビュー内容の記述は正確である。その点、週刊現代の記者はしっかりしている。
筆者は、経済を雇用とGDPの両方でみる。雇用についていえば、安倍政権はしっかりとしていて、金融政策によって雇用を増やしている(本コラムの過去記事http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47325を参照)。しかし、GDPは2014年4月の消費増税によって失速している、このGDPについての部分をインタビューで述べた。週刊現代の見出しは、この部分だけについて触れていることになる。
見出しで「アベノミクスはすべてがだめだった」と勘違いした人は、まんまと編集者の思惑にはまったわけだ。正確にアベノミクス全体についていうなら、雇用は良いが、GDPはいまいちというところだ。
もっとも、GDPを引き上げるのはそれほど難しいことではない。本コラム(例えば2016年1月4日付け「2016年、日本の景気が悪くなる要素が見当たらない~「国債不足」に「追加緩和」そして「埋蔵金バズーカ―」まで飛び出す!?」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47244)でも書き、週刊誌のインタビューでも言及した「埋蔵金バズーカ」を使えばいいのである。
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アベノミクスついに沈没 「消費税8%」がすべての間違いだった(2016.02.24)
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