[PR]

 米大統領選の民主党候補者指名を争うサウスカロライナ州予備選で、クリントン前国務長官が地滑り的勝利を収めた。8年前の大統領選に際し、オバマ氏に敗れた因縁の州。それだけに夫のビル・クリントン元大統領や娘も加わって選挙戦を展開。アフリカ系の強い支持に手応えを得たことで、今後の南部各州での戦いを優位に進めそうだ。(コロンビア=佐藤武嗣)

 「我々は最初の4州での戦いを終えた。明日から選挙戦は、全米規模になる」。サウスカロライナ州での勝利を受け、州都コロンビアでの集会に現れたクリントン氏は、今後本格化する選挙戦への意気込みをあらわにした。

 共和党の有力候補、トランプ氏の「米国を再び偉大な国にする」とのキャッチフレーズにも触れ、「その必要はない。むしろ米国をみんなの国にする必要がある。壁を構築するより(差別の)障壁を取り壊すことが必要だ」と早くも共和党候補との対決も見据えた批判も展開した。

 サウスカロライナ州は、南部で予備選・党員集会が最初に実施される重要州。民主党有権者の過半数が黒人で、ここで健闘できるかどうかが、スーパーチューズデーなど南部各州での勝敗を占う。

 南部アーカンソー州出身で知事も務めた夫の高い知名度を利用し、クリントン氏は黒人の多い教会などを訪ね回った。8年前、黒人層の支持を失ってオバマ氏にサウスカロライナ州で大敗して大統領選の潮目が変わり、最終的に撤退に追い込まれた苦い経験が念頭にあった。