鴻海のシャープ買収 サムスン・LGも行方を注視

【ソウル聯合ニュース】シャープ(大阪市)が25日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの買収提案の受け入れを決めたことで、サムスン電子やLG電子をはじめとする韓国電子機器業界が鴻海の今後の事業戦略に注目している。

 電子機器業界によると、鴻海はひとまずシャープと共同運営する大型液晶パネル製造工場、堺工場(大阪府堺市)などを買収するとみられる。

 米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の受託製造で知られる鴻海は、グループ系列会社に液晶パネル世界大手の群創光電(イノラックス)を抱えており、堺工場を買収すれば大型パネルの製造で相当な相乗効果を得られそうだ。

 また、これまで電子機器の受託製造サービス(EMS)の世界最大手として受託生産にのみ注力していた鴻海が、「液晶ディスプレイの元祖」であるシャープのブランドを掲げ、グローバル市場でテレビ完成品を売り出す余地もある。

 韓国電子機器業界の関係者は「鴻海がシャープの工場などを買収してどんな絵を描くのか、現段階では分からない。製造ラインやブランド、パテント(特許権)などの事業要素がどう変わるか、注視する必要がある」と語った。

 一方で、シャープはすでにメキシコのテレビ工場を中国家電大手の海信集団(ハイセンス)に売却したため、鴻海がシャープブランドでテレビ事業に直接参入するのは難しいとの見方もある。

 韓国テレビ業界の関係者は「鴻海の製造力とシャープのブランド力が合わされば相乗効果があるだろうが、これまでブランド事業(完成品)を全くしていなかった鴻海がテレビ市場に直接参入することはないとみている」と話した。

 鴻海の郭台銘会長がサムスンを「競争者の背後から刀を刺す企業」と表現するなど、代表的な「アンチ・サムスン」企業家であることから、サムスンも今後の展開にかなり神経を尖らせているようだ。 

 サムスン内部では、シャープの工場から60型台の大型パネルの供給を一部受けているものの、鴻海の工場買収でパネルの需給状況が変わることはないとみている。

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