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 総務省九州管区行政評価局は26日、九州の常時観測火山のうち離島を除く6火山について、登山者ら向けの安全対策の実態調査結果(昨年11月時点)を公表した。火山ごとに対策にばらつきがあり、同局は、改正活火山法施行に伴う安全対策強化への活用を求めている。

 調査は、2014年に長野・岐阜両県境の御嶽山が噴火し、多くの登山者が死傷したのを受けて実施。対象は、福岡管区気象台や6火山がある5県17市町村、関係団体や民間事業者。退避壕(ごう)などの施設状況▽登山者への情報提供▽登山者の情報把握――などを調べた。

 噴火時に噴石などから身を守る退避壕(ごう)・退避舎は4火山に計89基あったが、老朽化して亀裂が入っているものや、点検や修理をしていない自治体もあった。桜島に設置する鹿児島市は、耐震診断や建て替えを実施していたという。

 携帯電話の受信状況は、登山が規制されている桜島を除く5火山の7ルート115地点で調査。主要な携帯3社がどれも受信可能なのは全体の47%の54地点。すべて受信できない地点も16あった。

 また、5火山の地元はいずれも登山者の情報を把握できておらず、登山者らを避難させるための計画策定にもばらつきがあった。

 活火山法の改正で、九州では23市町村が「火山災害警戒地域」に指定されたばかり。指定市町村は防災計画に登山者らの避難計画を記載することが義務づけられ、登山者情報の把握も努力義務となった。同局の小川昭久・第一部評価監視官は「山ごとに火山活動の違いもあり一律に比較できないが、指定された自治体は今回の調査結果を対策に生かしてもらえれば」と話す。結果は同局のウェブサイト(http://www.soumu.go.jp/kanku/kyusyu.html別ウインドウで開きます)で閲覧できる。(小林舞子)