■人を傷つける才能

伸びっぱなしの髪に覇気の無い瞳、顔が整っているわけではない。

フラフラとした性格と外見は一番嫌いなタイプだったのに、

気付けばこれまでに無いくらい惚れてしまった。

色気があった。

初めて、この人とセックスしたい、という感情が生まれた。

彼はいつもニコニコと私に話しかけたし、他人からは付き合っていると思われていた。

ただ彼の言動に対する違和感が付き纏っていた。

違和感を無視しながら3ヶ月ほど過ぎた時、

私とセックスがしたい、と懇願された。交際は御免だとも言われた。

何度も何度も私にセックスが如何に素晴らしいかを説く彼が滑稽だった。

1人になった時、空虚な気持ちが溢れ出て止まらなくなった。

今も彼は、一度も悪いことなんかした事はない、と言わんばかりの

屈託のない笑顔と持ち前の社交性で周りからも愛されている。

それを見る度に反吐が出そうになる。

ふとした時に突然、記憶がフラッシュバックし、ポロポロと溢れてしまう。

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