ところで、「第3の韓流」を取材しながら、奇妙なことに気付いた。韓国人が恥だと思っていることを、外国では韓流を花開かせた底力だと思っているのだ。韓国人は「圧縮成長が生んだ『パリパリ(早く早く、とせかして仕事をさせる韓国人の性向)』の弊害が韓国を事故共和国にした」と自嘲(じちょう)するが、外国人は「炎のように燃え上がり、あっという間に鎮まる韓国人特有の気性がソウルを世界で最もトレンディーでファッショナブルな街に変えた」と評する。私教育費の負担を増やす主犯の英語も、韓流ブームにとっては一番の功労者だ。韓流を研究する外国人学者たちは「英語に対する韓国人の闘志や意欲は、韓流が『日流(日本ブーム)』をしのぐ決定的な土台になった」と言う。1000回にも及ぶ外国からの侵攻に苦しめられてきた「屈従の歴史」も韓流にとっては飛躍の一助となった。一度も他国を侵略したことのない平和と崛起(くっき)の歴史に、世界は敬意を表した。まかり間違えばミサイルを発射してしまうような狂気の集団を頭上に据えながらも、サムスンとK-POPと韓国料理を生み出し、世界を熱狂させる国! 「コリアン・クール」の著者Euny Hong氏は「運命に対し1000年間募った憤怒と恨(ハン=晴らせない無念の思い)が韓国人の粘り強さと持久力の源泉で、これはグローバル文化強国の土台になった」と書いている。
国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)に「悲しい族属」という詩がある。「白い布を黒い髪に巻き、白い靴を足に引っかけたまま、白い帯で細い腰をギュッと締め付けた」この族属は、悲しみの川に押し流されてばかりではいなかった。運命の川をさかのぼるサケのように、戦争と貧困、救済金融を乗り越え、誰もが三流だと非難していた韓流で世界に波を起こした。
ひょっとしたら韓国人は韓国人自身が考えているよりも、かなりましな「族属」なのかもしれない。だからこそ、再び吹きすさぶ北風(北朝鮮の脅威による影響)の前で、韓国人の中の嫌韓と分裂を無念の思いで見つめるのだ。