ラディン(Laden)族は小さなイタリア北東部の東アルプス山脈にあるドロミテ地域で暮らしている。人口は3万9000人で、大国イタリアとドイツに挟まれているが、2000年間にわたり独自の言語や文化を守って生きてきた。生き残れた秘訣(ひけつ)は「実用性」だった。海抜2000-3000メートルの岩山に囲まれた険しい土地で暮らしているが、彼らはドイツ語・イタリア語・英語ができる。観光で生計を立てているからだ。非常に勤勉で誠実なことも生き残りの哲学だ。いい加減な心構えで暮らせば寒さと飢えに倒れてしまうため、7つの村の指導者たちが力を合わせて過酷な自然と闘っている。その中心には民族的自負心がある。彼らは新聞やテレビを母語のラディン語で制作している。伝統料理を食べ、伝統衣装を好んで着る。4年間イタリアに駐在し、少数民族を研究した大韓貿易投資振興公社(KOTRA)のイ・チャンヒョン博士は「彼らの生存戦略は超大国に囲まれている韓国でも有効だと思った」と語った。
生存戦略の中心にあるという「自負心」の3文字が心に引っかかった。韓国は今、「ヘル(地獄)朝鮮」という言葉が飛び交う「セルフ嫌韓」時代だ。そう考えているのは、日々の暮らしすら暗たんとしている若者層だけではない。外国人に「ジャパニーズ?」と質問されて、「コリアン」と答えながら誇りを感じたことがどれだけあっただろうか。これだけ多くの国の中で、なぜ自分は世界唯一の分断国家に生まれてきたのかと悔いたことはなかっただろうか。