シーズン12使用構築

トノラグサイクル

前書き

割ける時間の都合上、前季でポケモンはやめるつもりだったのですが、強い怨念がはたらき性懲りもなく今季も潜っていました。序盤~中盤にかけて前季の流れを汲んだパーティを使用していましたが、驚くほど勝てず、1800代に乗せるのがやっとという体たらくでした。これではいけないということで全く違う思想(つまり、火力の押し付け)でパーティを構築することに着手し、電磁波で止まらず高火力を出せるトノラグに行き着きました。

構築が今のような形になるとすぐにレートが伸び、自身初となる2ロムでの2000達成に成功しましたが、その後は伸び悩み、前季に引き続きインフレ傾向のレート環境でありながらも2100を越えられないどころか前季の最高レートすら抜けないという悲惨な結果に終わってしまいました。それでも、初めて真面目に火力を押し付けて勝つという取り組みを形にできたパーティを、供養しないわけにはいかないだろう、ということで以下の構築記事を執筆いたしました。つまり結局毎回書いちゃう、ということですね。この通り何か優れた実績を残した構築ではありませんが、最後までお読み頂けると幸いです。

最高レート2056 / 最高順位98位 / 最終レート2004 / 最終順位557位

基本情報

持ち物 技1 技2 技3 技4
ラグラージ ラグラージナイト たきのぼり じしん れいとうパンチ まもる
ニョロトノ しめったいわ ねっとう アンコール ほろびのうた がむしゃら
トゲキッス ゴツゴツメット エアスラッシュ マジカルシャイン でんじは はねやすめ
サンダー ラムのみ ほうでん ねっぷう どくどく はねやすめ
ゲンガー クラボのみ たたりめ ヘドロばくだん おにび みちづれ
ヘラクロス ヘラクロスナイト ミサイルばり インファイト タネマシンガン じしん

個別解説

ラグラージ

持ち物 特性 技1 技2 技3 技4
ラグラージナイト げきりゅう→すいすい たきのぼり じしん れいとうパンチ まもる
いじっぱり H A B C D S
努力値 44 252 212
実数値 181 178→222 110→130 * 110→130 107→117

構築の主役。Aぶっぱ+雨下意地スカガブ抜き抜き、残りHPという調整。今季は雨パが多いとのことだったのでミラー意識でこのようにしました。シーズン通してメガラグ対面は1回しかありませんでしたがちゃんと上を取れました。他にもからやぶパルシェンなど意地スカガブ抜きに留めていそうなポケモンの上を取れたことがそこそこあったので、役に立ったと言って良さそうです。技構成は、普通にメガラグを運用するならこれ以外は考えられないでしょう。安定してすいすいを発動するためにまもるは欠かせません。特にこのパーティのニョロトノは湿った岩を持っているので守っている余裕も脱出トノよりはあるのではないでしょうか(脱出は脱出でトノを切らないで済むのでまた違う意味で余裕があると言えるのかもしれませんが)。

雨滝登りはメガバシャのフレドラよりちょっと低いくらいの火力指数と言うと、じゃあお膳立てなしで使えるメガバシャを使えばいいじゃんという話になってきそうですが、電磁波で止まらず、大抵の受けポケから引かなくて済むというのは大きな違いがあります。たとえばカバにはタイプ的に圧倒的に有利ですしクレセも雨下なら月の光の回復量が半分になり怯みも考慮すると有利と言えます。タイプ的に不利なジャローダあたりも受け出しからは間に合わないことが多いですし、スイクンにも地震確3がとれているので、後投げに地震を当てられれば3割で、対面でも最悪5割の勝負ができます。このように受けを突破するには十分な力を持っていると言えます。

弱点をつかれなければ大抵の大技も一発耐えるので、かなり安定した制圧力を持っていると感じました。ただ、意地グロパン+ふいうちやおんがえし+ふいうちなどを耐えないのでガルーラに勝てないというのが大問題で、ガルーラスタンに対してはトノ・ラグ以外でガルーラに勝てる(しかも、ガルーラスタンに採用されるほかの危険なポケモンに隙を見せにくい)駒を用意する必要があります。これにより非常に構築が圧迫され厳しかったです。そして何と言っても悲惨なのが、たとえ雨下であっても対面からは怯ませないと草結びボルトに勝てないということ。当然ながらトノラグ構築では対電気枠はラグになりますが、ここに草結びボルト対策を入れる余裕があるかというと、単品で入れることは可能であっても先程のガルーラ対策と併せると非常に厳しいということになります。タイプ的に圧倒的に不利そうな水ロトムやギャラドスあたりは取り巻きやラグ自身がなんとかできても、ガルーラ・ボルトロスという最強のポケモンたちに敵わないあたり、スペックの差とは悲しいものだと痛感してしまいます。

他にも、せっかくトノで雨を降らせてもメガ前ではすいすいが発動しないでゲンガーに雨が枯れるまで道連れ連打されて負け(これはアンコールで回避できる場合がある)たり、ちょっとでも削られるとバシャの膝で上から落とされたりと、KP上位のポケモンたちにそこまで有利がつかないあたりはラグ自身のスペックの限界を示しているように感じられてなりません。

ニョロトノ

持ち物 特性 技1 技2 技3 技4
しめったいわ あめふらし ねっとう アンコール ほろびのうた がむしゃら
おだやか H A B C D S
努力値 252 212 44
実数値 197 73 122 110 138 90

構築の主役その2。調整は雨下眼鏡水ロトムのドロポン高乱数2耐え、残りHBというもの。テンプレ型よりもBが薄めですがガブの意地鉢げきりんくらいは耐えます。水ロトムがいるとよく初手に出て来るため、そこにこいつを合わせて型を判別します。眼鏡やスカーフを警戒してとりあえず引かずに突っ張り、眼鏡やスカーフならがむしゃらでラグの滝登り圏内に入れるという立ち回りが可能です。ただこの場合トノを切ってラグで全抜きできることが大前提となるため、そのような立ち回りができなさそうな場合はトノラグを選出しないのが無難でしょう。

脱出ボタンでない理由は、例えばトノとバシャが対面した場合、基本的には有利対面でありながら(上位のプレイヤーでそういうことをしてくる人はいないでしょうが)上から殴られると行動せずに飛んで行ってしまうため、一手損するというのを嫌ったためです。メガラグは一手損してまで無傷で場に出したいポケモンではなく、むしろその耐久を活かし積極的にサイクル戦を仕掛けるべきだという、自分が未だに固執しているサイクル脳による産物と言えるかもしれません。

アンコールは詰め筋にも安定したサイクル戦にも起点回避にも使える万能技、滅びもラス1の詰めはもちろん身代わり持ちを引かせたりバトンギミックへの抵抗、そして引き際にがむしゃらを刺すなど使い道が豊富で、非常に役に立ちました。真面目に考察する前は雨パのトノは天候要因として仕方なく入っているものだと漠然と考えていましたが、技は本当に強力であり思ったよりも遥かに単体で活躍してくれました。雨パが構築のメインストリームから外れているのは、トノが弱いからではなく雨エースがしょぼいからなのではと思うこと頻りです。

トゲキッス

持ち物 特性 技1 技2 技3 技4
ゴツゴツメット てんのめぐみ エアスラッシュ マジカルシャイン でんじは はねやすめ
ずぶとい H A B C D S
努力値 252 204 52
実数値 192 49 155 140 142 100

ゴツメ枠。調整は臆病メガリザYの晴れオバヒ超高乱数耐え、残りHBというもの。ゴツメ枠としては頼りないB方面ですが、仕事は削りと電磁波を入れること、タイプ的な補完に尽きるので問題はないと思います。まひるみはオマケ程度に考えていたのですが、クレセやスイクンはもちろん、果てはHP半分程度残ったラッキーを突破した実績があり、その超害悪性能に震えるばかりです。

トノラグを選出できなかった場合にリザやバシャを止めるにはこのポケモンしかいないほか、トノを見てマリルリを出してくる人が多いのですが雨さえなければストッパーになれます。またよく出て来るバナについてもヘド爆を耐えるので電磁波から入って怯ませれば勝てますし、これまたよく出て来るヘラについても、削れていなければロクブラを耐えて返しのエアスラで倒せます。ジャローダあたりに関してもスカーフエアスラは怖いでしょうし、ラグがワンパンできず、返しの一撃で落とされうるサザンやカイリューなどからの引き先としても優秀ですし、挙げればキリがないですがとにかくトノラグのきついところをなんとかしてくれたという印象が強く、構築のMVPでした。雨下だとバシャやリザXの炎技に繰り出せるようになるというのもポイント高いです。さらにキッスのつらいところ(高火力岩、電気、鋼、毒)は大抵ラグが強いという、非常にキレイな補完関係にあり、まさにトノラグでサイクル戦をしようという場合に最適任な駒だと言えます。

このようにあまり文句はないのですが、明確に弱かったのはアローに舞われることです。サンダー以外に舞ったアローを止められるポケモンがいないため、トノラグキッスと選出した場合実はかなり神経を使うことになるでしょう。他にも中速以上で身代わりを持っている連中は厳しかったです。リザYの処理を初手でキッスと対面させて電磁波というルートに頼っているため、身代わりリザYは9割方降参。

サンダー

持ち物 特性 技1 技2 技3 技4
ラムのみ プレッシャー ほうでん ねっぷう どくどく はねやすめ
おだやか H A B C D S
努力値 252 228 28
実数値 197 86 105 145 152 124

今季は過去作産ポケモンが解禁ということだったので、自分も乱数を覚えてみました。こいつはその成果の一匹です。フシギバナ以外の草タイプ、および水タイプ、耐久ポケモンあたりを見るための枠となります。

調整はSが準速メガバンギ抜きで残りHD。ガッサの胞子対策、メガゲンガーの催眠対策などのためにラムを持っています。耐久を崩すためのどくどくですが、麻痺も撒きたいしめざ氷も撃ちたいしで技スペがとにかく足りませんでした。トノラグをわかりやすく止めてくるポケモンに強いのが優秀です。なお、雨下では眼鏡ロトムへの後出しが間に合わないので、立ち回りには注意を要します。わりと普通のポケモンなので特にこれ以上書くことはないかと思います。

ゲンガー

持ち物 特性 技1 技2 技3 技4
クラボのみ ふゆう たたりめ ヘドロばくだん おにび みちづれ
おくびょう H A B C D S
努力値 252 4 252
実数値 135 63 80 182 96 178

ガルーラスタンをメタる枠。CSぶっぱに残りD。技構成も含め普通のポケモンですが、クラボの実という謎のアイテムを持っています。これは当然ラムの実が足りないから持っているだけですが、それでもラムゲンガーは環境にそれほど多くないと思います。このアイテムを持つに至った経緯ですが、ガルーラに後投げすること(そして、それを読まれて冷Pや雪崩、非メガノーマル技などを押されること)を考えると襷はあまり意味をなしませんし、トノラグゲンガーと選出したい以上メガストーンを持たせるのも勿体ないということもあり、ボルトロスに対して一回は確実に突っ張れるアイテムとして麻痺避けのクラボということになったわけです。他にもジャロの蛇睨みをスカしてヘド爆で落とすといった芸当も可能で、トノラグの取り巻きとして扱うにあたっては非常に役に立ったと思います。

期待した対ガルーラ性能はこの上なくある…… ように見えましたが、噛み砕くガルが妙に多かったほかメガ無し捨て身で死んでいくこともしばしばあり、受け出しが安定などということは全くありませんでした。さらに、無償でゲンガーとメガ済ガルーラを対面させることができても、鬼火を受けに炎が出てきて舞ってくると手の付けようがなくなり、いっそ催眠にしてやろうかと迷ったほどです。

今書いたように色々と難しい面もありましたが、スペックはかなり高く、トノラグをガルーラスタンに選出する際に考えられる残り1枠としてこれ以上に有力なポケモンは考えられませんでした。

ヘラクロス

持ち物 特性 技1 技2 技3 技4
ヘラクロスナイト こんじょう→スキルリンク ミサイルばり インファイト タネマシンガン じしん
ようき H A B C D S
努力値 188 92 228
実数値 155 169→214 107→147 * 115→125 147→136

裏選出。メガ前最速ギャラドス抜きのSに、意地メガガルの捨て身を耐えられるところまでBを振り、残りAという、割と尖った調整となっています。

本記事で弱い弱いと文句を垂れているラグラージですが、これがまた妙に信頼度が高く異常な選出率の高さを誇っており、このメガヘラクロスはよほどトノラグがキツい時でないと出しません。トノラグの選出を抑制する駒として最も重要なのは水ロトムでもジャローダでもなくガルーラなので、ガルーラスタンに隙を見せにくいというのはトノラグの裏選出を考えるときに本質的に重要です。その上でトノラグが厳しいところに強めな駒ということで、ヘラクロスが適任だと考えました。トノを除き受けル耐性が皆無なので、そこをカバーできるのもポイントです。雨とのシナジーも微妙にある(対面でリザXやバシャに勝てるようになる)ので、これで良かったと思います。

調整意図ですが、トノラグ自体が残りの枠を圧迫し、ヘラの苦手な相手からの引き先を十分に用意できないため、Sラインを上げて引かずに相手を制圧するような使い方を意図して意地っ張りではなく陽気を選択しました。サナやバシャを倒せるのは爽快の一言です(最近は陽気ヘラの認知度が上がったせいかかなりバシャに守るから入られますが……)。同様の理由で、できるだけメガを残しておきたいためH振り風船ドランに対してインファで落とせる確率を上げるべくAをなるべく振り、しかも最低限のメガガル耐性のための耐久を確保したところこのような調整になりました。

とにかく選出率が低いのですが、出した時はかなり活躍したので、もっと積極的に出して行って良かったのかもしれません。

パーティ雑感

基本的にラグで殴り、他で誤魔化したり止まる相手をなんとかするというシンプルなパーティでしたが、そもそも積極的に殴りに行くパーティをあまり使ってこなかったこともあり、上手くハマった時の爽快感は経験したことのないものがありました。それでいて、今までのようなサイクル戦は強く意識したままであり、自分のような極端なサイクル思考の人間にも扱いやすい構築を作れたと思います。

ただ、扱いやすいということがそのまま強さには直結したわけではなく、KP上位でスペックの高いポケモンたちと殴り合うには力不足を感じました。これについては各ポケモンの項、とくにラグラージの項で散々書いたのでいいでしょう。

それでも、戦えると感じた範囲はかなり広く、上から高火力で殴るというのは単純に強いということを実感しました。これはちゃんとパーティを構築する能力のある人にとっては当然のことかもしれませんが、受けの補完を必要最小限にできるので、S11で深刻だった構築の八方塞がり感は改善したように思います。それこそが最大の収穫だったのかもしれません。すぐ次の後書きで書く通り、来季はポケモンをやらないつもりなのでもはや収穫と言ってよいのかわかりませんが……。

後書き

最後までお読み頂きありがとうございました。ぐだぐだと書いてきましたが、こう、とくに大したことを成し遂げていない構築の記事を2季連続でアップするというのは心苦しいものですね(でも書いて吐き出してしまいたいと思ってしまうのは人のサガ)。

もともと前季でポケモンはやめるつもりでしたし、2季連続で結果を残せないということで色々と限界が見えてきたところで、今度こそ一区切りにするつもりです。ヘビースモーカーが「自分は何度も禁煙に成功している」とのたまう、というような笑い話がありますが、なんとなくそんな雰囲気を感じつつ、この記事を〆たいと思います。繰り返しになりますが、最後までお読み頂きありがとうございました。