リベラル
- Liberal
- ReDEMOSは、個人の自由と多様性を尊重し、立憲主義を擁護するリベラルな政治を基本理念とします。リベラルな政治は、多様な考えやアイデンティティを包摂し、その多様性を社会の強さに変えます。多様性を可能とする、自由で民主的な社会の基盤となる立憲主義を遵守します。言論の自由と学問の自由は、健全な民主主義にとって必要不可欠なものです。個々人の尊厳と権利の意識をはぐくむ教育や、マスメディアの独立と報道の自由も、リベラルな政治の根幹を成しています。
リスペクト
- Respect
- ReDEMOSは、自由な個人が相互にその尊厳を認めあう、リスペクトの政治を基本理念とします。女性や若者、マイノリティ、子どもやハンディキャップを持った方々をはじめ全ての人びとの権利が保障され、個性が尊重される社会をめざします。リスペクトの政治は、個人の尊厳の基盤となる経済的/社会的な公正を追求します。拡大する格差や貧困の連鎖に歯止めをかけ、誰もが自由で安全な生の展望を抱くことのできる、持続可能な経済を構想します。
リニューアル
- Renewal
- ReDEMOSは、自由で民主的な社会を支える政策アイデアを刷新する、リニューアルの政治を基本理念とします。リニューアルの政治は、自由や民主主義、基本的人権などの普遍的な価値を実現するための、具体的な制度のバージョンアップをめざします。エネルギー政策や安全保障政策といった政策論にも踏み込みながら、新たな視点を示し、自由闊達に論争を行い、実りある提言を打ち出します。リニューアルの政治は、平和な未来を描き、リベラルな理念をはぐくむための、具体的な制度刷新のアイデアを追究します。
STORYストーリー
わたしたちが望むのは、日本に生きる一人ひとりの自由と尊厳を大切にする社会です。わたしたちはそのために、立憲主義に基づき、自由と民主主義の価値を尊重する政治を求めます。
戦後70年を迎えた2015年の夏、日本では立憲主義と民主主義をないがしろにするかたちで安保法制の立法が強行されました。沖縄の辺野古基地建設の問題も、選挙によって示された沖縄の民意だけでなく、法治国家の正当な民主的プロセスも無視するものであると大きな反発を招きました。日本社会はいま、多くの課題を抱えています。その解決策については、様々な立場から自由闊達な議論が行われるべきです。しかし、そうした民主的な論争は、立憲主義、自由、民主主義といった根本理念が尊重されて、初めて健全に機能するものです。民主主義国家にふさわしい、尊厳ある個人の自由を保障するためには、一定の平等や公正な分配が達成されることも不可欠です。さらには、日本は国際社会と連帯し、東アジアの平和構築へ向けた責任ある判断をしていかなければなりません。
わたしたちは経済や生活保障、安全保障といった個別の政策について、包括的かつ領域横断的に研究します。そしてその知見を日本社会に対して発信し、めざすべき社会とはどのようなものか、大局的なヴィジョンを提示していきたい、と考えています。わたしたちは個々の政策的な垣根を超え、個人の尊厳や自由を尊重する社会の実現に向けて、政策アイデアの刷新を行い、具体的な制度づくりや取り組みを進めていきます。いま求められているのは、危機に瀕している立憲主義と民主主義とを取り戻すことだけではありません。自由、民主主義、平等、公正といった普遍的な理念を実現するアイデアと制度を、つねにアップデートさせていくこともまた、わたしたちの重要な仕事です。
最後に、ReDEMOSとは、民衆(DEMOS)への応答(Re:)の意味です。国会前抗議やデモを原点とするわたしたちが、日本の民主主義を問い直し、わたしたちの考える社会のヴィジョンを示し、市民相互の広く活発な応答関係を構築することで、日本社会が進むべき未来のあり方を探りたい。その思いで名づけました。一人ひとりの尊厳を大切にする社会。それがわたしたちの構想する、未来の日本の姿です。
ACTIVITIES / ENGAGEMENTReDEMOSの活動紹介
ReDEMOSは、市民が参加し活用できる知のプラットフォームです。
わたしたちは、個人の尊厳と自由を守るために、立憲民主主義、生活保障、および安全保障などの分野について、目指すべき方向性を検討するとともに、市民の間に議論の輪を広げ、政策提言へと繋げていきます。
わたしたちの活動のフェーズは以下の3つです。
視点
パースペクティブ
- 1.Perspective
- ReDEMOSは、主権者である市民の熟議に資するために、重要な政治課題について分析し多様な視点を提示します。
論争
ポレミック
- 2.Polemic
- ReDEMOSは、論争的なイシューに関して異なる立場から自由闊達で建設的な議論を交わす場を提供します。
提言
プロポーザル
- 3.PROPOSAL /提言
- ReDEMOSは、議論の深まりを踏まえて、市民、政府、政党および政治家に対する政策提言を行います。
これら三つのフェーズで、ネットメディア、ブックレットの製作、メールマガジン、イベント等を通して発信し、市民のためのシンクタンクとなることを目指します。
PROPOSAL / 提言立憲民主主義の崩壊を防ぎ、持続的に維持発展させるための立法提言
Version1.0
Ⅰ 問題構造
今回のいわゆる安保法を巡る問題は、法の内容について違憲性を含む大きな問題があります(分析レポート vol.1「いわゆる安保法制の法的問題点(水上)」 参照)。
さらに立法に向けた手続きについても、複数の重大な問題があります。今回の立法プロセスに含まれる問題点のうち特に重大なものは以下です。
1.憲法適合性チェック機能の不全
内閣法制局による憲法適合性の検証が十分に行われず、違憲の法案がそのまま提案され採決を強行されてしまいました。
※抽象的違憲審査制とは、裁判所が、個別の事件がなくても、直接的に法律自体が違憲なものでないかを審査する仕組みです。日本の裁判所は、現行制度上はこの機能を持たないとされていますが、憲法上は禁止されていないのではないかという議論があります。
2.地方公聴会が無意味なものに
9月16日の地方公聴会の結果は委員会で共有されず、それを受けた審議や討論も行われることなく採決が強行されてしまいました。
3.過去の強行採決とも本質的に異なる「かまくら採決」
参議院の安保特委では、速記が止まっている状況で、突然、与党議員が「人間かまくら」をつくって委員長を取り囲み、その間に、与党委員が立ったり座ったりすることで採決ができたと称する「かまくら採決」が行われました。
これにより、多くの野党議員は、法案の採決に加わり表決権を行使すると いう基本的な権能が全面的に奪われました。
議員の表決権は国民から選挙を通じて負託を受けた基本的な権能である 以上、それを全面的に奪うような採決の方法は決して許されず、もはや採決が存在したとすら認められません。
4.議事録の捏造
さらに、その後、実際には存在が認められない安保特の議決について、委員長職権で一方的に議事録が作成され、実態と異なる議事が捏造されました これがまかり通るとすれば、議会制民主主義自体が破壊されてしまいます。
5.国会における自律的な解決手段の不存在
このように異常な国会運営について国会が自律的に検証し自浄作用を発 揮することはなく、国会における悪しき先例になりつつあります。
Ⅱ 立憲民主主義の崩壊を止めるために
日本の立憲民主主義は、上記のような深刻な問題に直面しつつあります。 我々は、この国の主権者として、立憲民主主義の崩壊を止めなければならず、そのためのあらゆる方策を採る必要があります。
そこで ReDEMOS は、日本の立憲民主主義の崩壊を防ぐ「具体的な方法論」として、秘密保護法、安保法の一旦破棄、巻き戻し及び再立法に加え、今回の安保法制の審議経緯で行われてしまったような非立憲、非民主的なプロセスを防ぐための新たな立法を行うことを提案します。
Ⅲ 具体的な立法作業
具体的に、2016 年度初頭をめどに、以下のような法改正を実現させるための具体的な立法準備を行います。
それに当たっては、憲法学、行政学、立法学等を含む学者専門家の方々や、議員、法制局などにも広く知見を伺い、具体的な法文案を含む提案を行う予定です。
1.特定秘密保護法の一旦破棄と2年以内の再検討を実現する法改正
〜ツワネ原則と情報開示ルールの明確化を含んだ国家情報管理法の再立法〜
特定秘密保護法については、いわゆる安保法が運用されるような局面でその判断要素の大半が特定秘密として扱われることになるなど、改めてその問題が明確になっています。
そこで、現行法を一旦破棄したうえで、知る権利と情報管理の調和に関する国際的な検討結果である「ツワネ原則」に準拠した法制度に全面的に改めるべきです。
2.安保法の一旦巻き戻しと1年以内の再検討を実現する法改正
〜自国の個別的自衛権と警察権行使の十全化を実現し、かつ憲法上の問題が生 じない法案をゼロベースで検討〜
いわゆる安保法については、内容面でも違憲であり、法の内容に不備があり、不当な帰結を招く法案であるうえ、立法手続きにおいても立憲主義・民主主義の両方から重大な問題があります。そこで、一旦今回の法改正の前の 時点に戻す「巻き戻し立法」を行ったうえで、2年以内に抜本的な再検討を行うべきです。
3.我が国に真の立憲民主主義を実現させるための関連法改正
①立法段階で適切な憲法判断を受けることができる仕組みの構築
- A 案:最高裁判所による憲法判断告知制度(国会内の憲法審査会や、一定数以上の議員の提起により
裁判所が文書で法律の合憲性に対する判断を告知する仕組み) - B 案:内閣から独立して立法府に対して法案の合憲性に対する諮問へ答申する諮問機関の設置
②地方公聴会後の派遣報告や総括質疑などの適切なプロセスを明示
- 1. 国会法、衆参議院規則の改正による適正プロセスの明確化
- 2. 決議の不存在、無効等に対する議会内異議申し立て制度の創設
③報道の自由確保法(政府によるメディアへの不当圧力を禁止し、自立的な報道を確保するための法律)
④情報公開促進法(国会審議等の民主的意思決定に必要な情報についての迅速開示義務等)
⑤国会に、行政による違憲な処分や人権侵害を監視する立憲民主主義監視委員会の設置
今後、立憲民主主義の崩壊を防ぎ、むしろ今回の教訓を活かして、日本の議会制民主主義を真に立憲主義・民主主義に適合したものに発展させていくための、前向きな立法が必要となります。
多数派が立憲主義を蹂躙し、民主主義を無視した議会運営を強行した場合、それが明確に違法となる制度をあらかじめ準備しておかなければ、「良識無 き多数派」に対して無防備な統治機構となってしまう以上、一定の法的措置が必要です。