長倉顕太/Kenta Nagakura プロデューサー、コンテンツマーケター。編集者としてベストセラーを連発。10年間で手がけた書籍の販売部数は1000万部以上に及ぶ。現在は独立し、コンテンツ(書籍、電子書籍、オウンドメディア)のプロデュースならびに、これらを活用したマーケティングを個人や企業にコンサルティング。無名の新人をプロデュースして、ベストセラー著者へと導く手腕が高く評価されている。
現代に生きる私たちは日々、大量の情報にさらされている。だからだろう、言語が身体的な感覚よりも優先されてしまっている。身体的な感覚というのは、体で感じた衝動みたいなもの。気配を察知したり、第六感から生まれる「勘どころ」に頼ったりすることだ。では、今いちど身体的な感覚を取り戻すには、どうしたらいいのだろうか?
01.
まず、断ち切るべきは
親と子が依存する関係
私はよく、「親と縁を切れ」と言う。ようは親も子も互いに甘えるような関係から距離を取れということだ。私たちが受ける最初の洗脳は、間違いなく親からだ。地に足がつかなくなる最初のきっかけをしっかり見つめてみよう。
もちろん、縁を切るまではできない人も多いだろう。ならば精神的にも距離的にもいったん離れてみる。まだ同居しているなら、とっとと家を出ることだ。
人生に迷っている人で親のせいにしている人は意外なほどに多い。小さなときに心に傷を負った…あんなことを言われた。こんなことをされたなど、さまざまな理由を語る。きっと親自身でさえも忘れているような出来事が、子どもにとってはトラウマになるほど残っているケースもめずらしくない。日本の親はとくに子離れしない人が多い。もちろん逆もしかり。だから、あなたから積極的に距離を取る必要があるのだ。
02.
「会いたい」と心底思えない
相手は切り捨ててしまう
いらない人間関係は、全部捨てよう。付き合いだけの飲み会、義理で集まる同窓会、毎年定期的に集う親戚関係、なんとなくつながっているママ友…など。いろいろとあるだろう。
ここで重要なのは、「楽しいか」ということだけ。その人たちと会いたいと思えて、なおかつ一緒に過ごしていて「楽しい」という感覚が重要だ。経済的メリットなどは、どうでもいい。世の中的には不毛な人間関係でもいい。「会いたい」と心底思えない相手は全部切り捨てることだ。
03.
住む場所を変えて
気分を一新する
医療の世界では「転地療法」というのがある。これは、病気を改善するため、違う土地で暮らすというものだ。100キロくらい離れてるとベストだといわれている。
場所を変えることで気分も変えて、精神面、体質面にも効果があるわけだから、引っ越しすることも精神的な病に悩んでいる現代人には効果が期待できるだろう。
私も頻繁に引っ越しするようにしている。今は日本とハワイに家があるため移動することが気分転換となっているが、過去10年間で10回は引っ越しをしてきた。人は適応能力に優れた生物だから、すぐに環境に慣れてしまう。慣れてしまうと身体的な感覚は麻痺していく。それを引っ越しによって払拭するだ。
04.
ダイナミックに
お金を使い果たす
意味もなくコツコツと貯金している人がいる。そんなことをしていると心は守りに入ってしまい、想像力も創造力も奪われていく。私たちはお金を使うことへの罪悪感を植えつけられてしまっているのだ。
ところが事業で成功し、お金を稼いでいる成功者は、みんなお金の使い方がうまい。意味不明な無駄遣いはせず、使うときはダイナミックに使う。
かつて、私の元部下で独立した男がいたが、彼は退職後、ビクビクしながら慎重に生きているようだった。会社を辞めたというのに、悲壮感が漂っている。聞くと、2〜3ヵ月分の生活費くらいの貯金があるということだった。だから、私は一気に使い切るように伝えた。その後、彼がどうしたかはわからないが、人というのは追い込まれないとなかなか動けないものなんだ。
05.
同じ会社に「長居」しない
これは、会社員の人にとっては一番効果的かもしれない。見える世界が大きく変わるからだ。本当に辞めた瞬間に変わるといってもいい。私ほど自由に会社員をやってきた人間もいないだろうが、それでも本当に、「もっと早く辞めておけばよかった」と今でもつくづく思う。
だから、私の会社(㈱長倉顕太事務所)にいるスタッフには、必ず2年間で卒業してもらうようにしている。そのほうが健全な関係が一生続くと考えるからだ。
06.
「言葉の通じない世界」に
1ヵ月以上行く
別に海外に行ったからといって何かがおこるわけではない。ただ、言葉が通じない場所に体を移動させるだけで、かえって現実世界に引き戻されて身体感覚が蘇ることになる。言葉の通じない世界では、夢うつつでは生きていけない。
できれば1ヵ月以上は行ってほしい。そのくらい体験しないと身体的な感覚までは浸透しないからだ。私も大学を卒業して、歌舞伎町で働いたあとに、1年くらいニューヨークに住んでいた。たいしてやることもないので、アトランティックシティでカジノに入り浸っていた。
はっきりいって不毛な1年間だったといえる。ただギャンブルをやっていただけだから。しかし、今、振り返ると歌舞伎町時代〜ニューヨーク時代という2年間が、私にとっては地に足をつけて生きることの始まりだった。
07.
上と下、善と悪…
両極を知る
これは、上と下、善と悪、明と陰などいろいろあるが、とにかく両極の世界を知らないと地に足がつかない。自分がどこにいるかがわからないわけだから、どこが地かもわからないことになる。
今はデジタルの世界(インターネット)が主流となっているが、アナログの世界(人と対面する)の両極を知ることで、これからコミュニケーションがどのような流れになっていくのかわかるだろう。
このようなことをFacebookのタイムラインに投稿したところ、「カレーも、激辛と激甘の両方を食べないと、どこが中辛かわからないですよね」みたいなコメントが入っていて、「うまいこと言うな」と感心したことがあった。本当にその通りで、両極を知らないと何も判断できない。両極を知らないと知ったことにならない。ある意味、両極を知らないから他人の意見に左右されているともいえるだろう。
『超一流の二流をめざせ!』
コンテンツ提供元:サンマーク出版