2011年04月27日
永久保有ポートフォリオ(3) バフェット流投資のこれから
(続き)
というのも、バフェット銘柄のほとんどは米国企業で、日本の投資家は円高による収益の目減りとボラティリティの増加を気にしなければならないからです。
下図は先ほどのチャートを円ベースで描き直したものです。ドルベースでは20年で15倍だったパフォーマンスが、円ベースでは9倍にまで悪化します。
15倍が9倍になっても上出来です。特に過去20年の日本株と比較すれば涙が出るほど素晴らしいと言えるでしょう。
しかし世界的に株価が下落する金融収縮時は円高になる傾向があり、株と為替の損を同時に食らいます。ドルベースよりもボラティリティが大きいのです。すると円ベースの投資家は余計に短期的な動きが気になって、どうにかそれを改善したいと考えてしまうのです。
これに対する解決策は2つあります。
こういった為替による影響が、日本でなかなかバフェット流の投資が根付かない理由のひとつになっているかと考えます。
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バフェット流の投資が日本で根付かない理由のもうひとつは、日本市場の特性にあります。
まずなじみの深い日本株は世界景気への感応度が高く、グ ローバルな消費者独占企業はあまりありません。市場を独占している部品メーカーなどは世界景気に影響されやすく、消費者独占型企業は日本を主な市場として いるため世界経済拡大の恩恵を受けるにしても限定的 でした。
日本市場でもバフェット的な面白い銘柄はちらほらあります。しかし永久保有にふさわしい銘柄のほとんどは、外国にあります。営業利益率25%、ROE40%、世界経済拡大の恩恵を受けかつ景気にあまり影響されない銘柄なんて、日本ではそうそう見つからないのです。
したがってバフェット流の投資 をやろうとすると「通貨両替」「外国語の壁」「税務申告(外国税額控除など)」といったハードルが増え、初心者が気楽に始められるものではなくなってしまいます。
それでも昔に比べると、状況は劇的に改善しています。
情報はネットを使ってタダで取れますし、両替のスプレッドも外国株の取引手数料も信じられないほど安くなりました。外国株を使って個人的にバフェット流の投資をしている 投資家もかなり居るに違いありません。
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ところで変な質問ですが、バフェットがもし日本に生まれたらこれほどの成功を収めたでしょうか?
彼ならどの国でもどんな分野でも成功したと思いますが、アメリカに生まれたからこそ才能が大きく開花したのだと私は思います。
まず、同じ時代の日本に生まれたら戦争で死んでしまったかもしれません。
財産を軍人に没収されたり、戦後の預金封鎖で紙クズにされたかもしれません。
それをうまく乗り越えて高度成長の恩恵を受けたとしても、
人口が減ってデフレ圧力が強まる中で日本株にこだわったとしたらかなり苦労したことでしょう。
やはりバフェットは、
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今後アメリカの覇権が弱まったり、世界人口が減少するなどといった変化に対してバフェットがどう対応するのか興味深いところです。
またネットによって既存メディアの情報独占が崩れている昨今、いくらバフェットが好きであってもワシントンポスト(WPO)を持ち続けるかどうかの判断は 難しいところです(私ならおそらく売ってしまうでしょう)。
しかし新興国株を買ったり、鉄道を買ったり、ばっさりと銘柄数を減らしたりする彼のことですから、やはりうまく切り抜けてゆくのではないかと思います。
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日本人にとってバフェット流投資は少しだけハードルが高いです。
しかし仕組みと特徴(欠点)がわかってしまえばこれほど楽で頼れる方法はありません。
投資に時間と労力をかけたくない人は永久保有ポートフォリオを組み入れ、
空いた時間を他のことに使うのがひとつの解答ではないかと考えます。
(終)
PS
お問い合わせがあったので会員さんには近々、「永久保有ポートフォリオの例」を提示します。
これだけが唯一の投資手法ではありませんが、ご参考まで。
入会はこちらから
↓↓↓
http://www.wildinvestors.com/member/
というのも、バフェット銘柄のほとんどは米国企業で、日本の投資家は円高による収益の目減りとボラティリティの増加を気にしなければならないからです。
下図は先ほどのチャートを円ベースで描き直したものです。ドルベースでは20年で15倍だったパフォーマンスが、円ベースでは9倍にまで悪化します。
15倍が9倍になっても上出来です。特に過去20年の日本株と比較すれば涙が出るほど素晴らしいと言えるでしょう。
しかし世界的に株価が下落する金融収縮時は円高になる傾向があり、株と為替の損を同時に食らいます。ドルベースよりもボラティリティが大きいのです。すると円ベースの投資家は余計に短期的な動きが気になって、どうにかそれを改善したいと考えてしまうのです。
これに対する解決策は2つあります。
- 気にせず放っておく。バフェット流の良いところは「投入する労力や時間に対して効果が高い」ことなので、短期的な動きを気にし始めたらその良さが失われる。そんなヒマがあったら他の仕事をしたほうが良い。
- 通貨オーバーレイなどで為替リスクをコントロールする。
こういった為替による影響が、日本でなかなかバフェット流の投資が根付かない理由のひとつになっているかと考えます。
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バフェット流の投資が日本で根付かない理由のもうひとつは、日本市場の特性にあります。
まずなじみの深い日本株は世界景気への感応度が高く、グ ローバルな消費者独占企業はあまりありません。市場を独占している部品メーカーなどは世界景気に影響されやすく、消費者独占型企業は日本を主な市場として いるため世界経済拡大の恩恵を受けるにしても限定的 でした。
日本市場でもバフェット的な面白い銘柄はちらほらあります。しかし永久保有にふさわしい銘柄のほとんどは、外国にあります。営業利益率25%、ROE40%、世界経済拡大の恩恵を受けかつ景気にあまり影響されない銘柄なんて、日本ではそうそう見つからないのです。
したがってバフェット流の投資 をやろうとすると「通貨両替」「外国語の壁」「税務申告(外国税額控除など)」といったハードルが増え、初心者が気楽に始められるものではなくなってしまいます。
それでも昔に比べると、状況は劇的に改善しています。
情報はネットを使ってタダで取れますし、両替のスプレッドも外国株の取引手数料も信じられないほど安くなりました。外国株を使って個人的にバフェット流の投資をしている 投資家もかなり居るに違いありません。
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ところで変な質問ですが、バフェットがもし日本に生まれたらこれほどの成功を収めたでしょうか?
彼ならどの国でもどんな分野でも成功したと思いますが、アメリカに生まれたからこそ才能が大きく開花したのだと私は思います。
まず、同じ時代の日本に生まれたら戦争で死んでしまったかもしれません。
財産を軍人に没収されたり、戦後の預金封鎖で紙クズにされたかもしれません。
それをうまく乗り越えて高度成長の恩恵を受けたとしても、
人口が減ってデフレ圧力が強まる中で日本株にこだわったとしたらかなり苦労したことでしょう。
やはりバフェットは、
- 大恐慌後のアメリカでサバイバル術とビジネスセンスを身につけ、
- アメリカが覇権国家として拡大する時代に株式投資をし、
- 国内も海外も人口も増え続けて市場が縮小することもなく、
- ドル安やインフレにも強い投資戦略を取っていた
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今後アメリカの覇権が弱まったり、世界人口が減少するなどといった変化に対してバフェットがどう対応するのか興味深いところです。
またネットによって既存メディアの情報独占が崩れている昨今、いくらバフェットが好きであってもワシントンポスト(WPO)を持ち続けるかどうかの判断は 難しいところです(私ならおそらく売ってしまうでしょう)。
しかし新興国株を買ったり、鉄道を買ったり、ばっさりと銘柄数を減らしたりする彼のことですから、やはりうまく切り抜けてゆくのではないかと思います。
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日本人にとってバフェット流投資は少しだけハードルが高いです。
しかし仕組みと特徴(欠点)がわかってしまえばこれほど楽で頼れる方法はありません。
投資に時間と労力をかけたくない人は永久保有ポートフォリオを組み入れ、
空いた時間を他のことに使うのがひとつの解答ではないかと考えます。
(終)
PS
お問い合わせがあったので会員さんには近々、「永久保有ポートフォリオの例」を提示します。
これだけが唯一の投資手法ではありませんが、ご参考まで。
入会はこちらから
↓↓↓
http://www.wildinvestors.com/member/