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旅客機エンジンから煙 新千歳空港で乗客緊急脱出
2月23日 23時41分

旅客機エンジンから煙 新千歳空港で乗客緊急脱出
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23日午後、新千歳空港で、乗客乗員165人が乗った日本航空の旅客機が誘導路を走行中に右エンジンから煙が出て、乗客全員を緊急脱出させました。地元の消防によりますと、乗客のうち女性3人が腰や首の痛みを訴え、病院で手当てを受けているほか、男性1人が体調不良を訴えているということで、いずれも症状は軽いということです。
日本航空などによりますと、23日午後3時10分ごろ、新千歳発福岡行きの日本航空3512便、ボーイング737型機が新千歳空港の誘導路を走行中、右エンジンから煙が出たため誘導路で停止しました。
この便には乗客159人、乗員6人の合わせて165人が乗っていて、煙が客室内にも入り込んだため、脱出用スライドを使って緊急脱出させたということです。乗客は午後3時27分までに全員が脱出したということです。
地元の千歳市消防本部によりますと、乗客のうち60代から70代の女性3人が腰や首の痛みを訴え病院で手当てを受けているほか、20代の男性が体調不良を訴えているということです。いずれも症状は軽いということです。
この便に乗り合わせていたNHKの職員は、「午後3時ごろ、天候が悪くなったため出発を待って待機していたところ、機内で焦げたような異臭がして、右側のエンジンから煙が出ているように見えた。避難のアナウンスがあり、乗客が避難した。混乱はなかった」と話しています。
この便は午後2時34分に旅客ターミナルを出発し、離陸のため滑走路に向かったものの、途中で雪が強まり、翼に雪が積もる可能性が出てきたため、いったんターミナルに戻ろうと大きくUターンしたあとトラブルが起きたということです。
このトラブルを受けて国の運輸安全委員会の調査官が午後10時半前に空港に到着し、関係者から事情を聞くなどして、煙が出た原因を調べることにしています。

日本航空は「誘導路を走行中に右エンジンに不具合が発生し、煙が機内に入ってきたため、お客さまに緊急脱出していただきました。お客さまならびに関係者の皆さまに、ご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心よりおわび申し上げます。エンジンの不具合の状況、原因については現在調査中です」とコメントしています。

専門家「パイロットの判断は適切」

全日空の元機長で航空評論家の樋口文男さんは、煙が出た原因について、オイルが高温のエンジンに触れ、煙となった可能性も考えられると指摘したうえで、乗客は落ち着いて避難しているように見え、パイロットの判断は適切だったとしています。
右エンジンから煙が出て客室内に入り込んだ原因について、樋口さんは「エンジンの異常燃焼などの可能性も考えられるが、最も考えられるのは、油圧やエンジンのオイルが漏れ、高温のエンジンに触れて煙となり、さらに空調のダクトを通じて客室内にも煙が流れ込み、異臭が発生した可能性も考えられる」と指摘しています。
また、氷の塊を吸い込むなどして異常が起きた可能性については、「こうしたトラブルは通常、離陸時や上昇中などエンジン出力が最大の時に起こりやすいが、今回のような地上走行中はエンジンがアイドル状態で出力が低く、吸い込む可能性は低いのではないか」と話しています。
そのうえで、緊急脱出の様子について「パイロットが最も恐れるのは飛行機の火災で、さらに乗客がパニックになり避難の際にけがをするケースも考えられる。映像を見るかぎり乗客は落ち着いて避難しており、パイロットの判断は適切だった」と指摘しました。

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