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 将来の葬儀代などとして高齢者から集めた預託金を流用し、運営に行き詰まった公益財団法人「日本ライフ協会」(東京都)は26日、一般社団法人「えにしの会」(本部・福岡市)に事業を譲渡して解散することを決めた。会員は従来通り身元保証などのサービスを受けられるようにするというが、預託金は4割ほどに減額される見通しだ。

 えにしの会は協会と同様、身寄りのない高齢者らの身元保証や生活支援サービスを展開する。ただ、会員数は約350人で、約2600人の協会の1割強。葬儀代などは減額された預託金で賄えるようにしたいとするが、詳細は未定だ。

 大阪府高槻市の女性(76)は夫が死亡し、身寄りがなくなったのを機に4年前に入会した。「譲渡先の名前は聞いたことがない。『公益法人だから安心』と説明を受けて入会したのに」と不安を漏らす。

 協会の事業は弁護士などが預託金を管理することで2010年7月に公益認定された。だが、3カ月後からは協会が直接管理を開始。預託金計約8億8千万円の一部を関連NPOへの貸し付けなどに流用し、約4億8千万円の不足を生じさせた。

 公益法人は08年の制度見直しで、「はしの上げ下ろしまで役所が仕切る」仕組みから、民間の自発的な活動を促す「事後チェック型」に転換。毎年、事業報告や財務諸表を提出して内閣府のチェックを受ける。協会には13年に立ち入り検査もしたが異変に気づかず、報告内容の照会を始めたのは15年1月だった。