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2016-02-27
■[読書][哲学]ジョン・パスモア『分析哲学を知るための哲学の小さな学校』
分析哲学の入門書ではあるが、タイトルや装丁からイメージされるような初心者向けの本ではなくて、3冊目以降くらいに読むのがちょうどよさそうな本。
分析哲学について全く知らなくて、一から始めたいというのであれば、
八木沢敬『分析哲学入門』 - logical cypher scapeか
青山拓央『分析哲学講義』 - logical cypher scapeの方がよい。
この本は、どちらかといえば哲学者に着目して、彼らの哲学史的位置と思想の概観を大づかみで説明してくれる。
分析哲学の入門書は、どちらかといえば、テーマごとに切られることが多いので、出てくる哲学者についてもその話題の限りでしか説明されなかったりするけれど、この本は、その人の全部を説明するのは無理にしても、どういう人かなんとなく分かるようになっている。
それから、目次を見れば分かる通り、なんとマルクス主義から始まり、いわゆる大陸哲学についての説明が続く。デリダ対サール論争もデリダよりの視点から解説していたりする。そこから分析哲学の話へと繋がっていく。
作者は、オーストラリアの哲学者で、未邦訳だが『哲学百年』という20世紀の哲学史の本も書いているらしい。
第1章 序論―変化と連続
知識と信念――ゲティア問題
ウィギンズ
サールとグライス
第2章 構造と統語論
ソシュール理論とその影響
構造主義者達
デリダ対サール
第3章 統語論から意味論へ
カッツとフォーダーの意味論
モンタギュー――形式化された人工言語
D・ルイス――慣習
スタルネイカー
デイヴィドソンの仕事2――意味論
パトナム以前
パトナムの科学哲学
パトナムのこころの哲学
パトナムの形而上学
ファイヤアーベント
分析哲学の入門書で必ず出てくるだろうという名前も揃っているけれど、あまり入門書では出てこないような人の名前も並んでいたりする。例えば、モンタギューとか。名前は聞いたことあるけど、みたいな人だ。それから、ウィギンスとアームストロングは、上述の八木沢本には出てくるけれど、日本の分析哲学入門書だとまだあんまり出てこないのでは、という感じがする。D・ルイスは様相実在論で有名であり、この本でもそちらの言及もあるのだが、むしろ慣習についての研究が取り上げられている。フォーダーも、少なくとも自分としては、モジュールの人だなーというイメージなんだけど、意味論の話で出てくるし。
分析哲学の入門書だったら普通はフレーゲから始まるけど、あんまりそのあたりはなくて、ソシュールから始まってチョムスキーを経由して、統語論から意味論へという文脈で、分析哲学の話へとつないでいく。
様相の意味論の話するにしても、グッドマンの投射の話してから、スタルネイカーやルイス、クリプキに入っていく。グッドマンの投射って、まあ帰納法との関わりで科学哲学の文脈で出てくること多いけど、反可能世界の立場という文脈で出してくるのも、入門書としては珍しい気がする。
デイヴィドソンとダメットは、分析哲学のビッグネームであり、分析哲学やるんだったら読んでなきゃいけないみたいなところなんだけど、実は自分は、なんか難しそうというので全然読んでなかったりする。そして今回も、うん、やっぱり難しそうだという印象は変わらないのだった……w
二項対立を弱体化させるものとしてのパトナム
パトナムを軸にして、心の哲学の話題としてデネット、あるいは科学哲学の話題として、ラカトシュ、ファイアアーベント、メアリー・ヘッセに触れている。
- 作者: ジョンパスモア,John Passmore,大島保彦,高橋久一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/02
- メディア: 文庫
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