年初来の世界金融波乱のあと初めて主要国の国際金融をつかさどる責任者たち…
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年初来の世界金融波乱のあと初めて主要国の国際金融をつかさどる責任者たちが一堂に会した。きのうまで上海で開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、世界的な金融リスクがこれ以上高まらないように各国が政策を総動員することを確認した。
G20の協調を演出できたことは市場の動揺を抑えるのに一役買ったかもしれない。ただ、G20が有効な具体策を打ち出すことは難しい実情もあらわになったのではないか。
市場不安の主な要因は(1)中国経済の減速(2)原油価格の急落(3)米国の利上げ、の三つとされる。加えて欧州の難民問題、北朝鮮をめぐる緊張の高まり、泥沼化する中東情勢など、世界の不安定化が経済の長期停滞を市場に意識させている面もある。
リーマン・ショック以来、こういう事態に主要国はこぞって財政出動や金融緩和のエンジンをふかしてきた。ところが各国はほぼ手を打ち尽くし、今では追加策を打つ余地に乏しい。
しかもそうした対策の過剰が新興国バブルや資源バブルを生み、結果的にいまの金融波乱を招いてきた。危機対応が新たな危機を生む皮肉な構図である。
同じ過ちを繰り返さないためにも、主要各国が財政出動と金融緩和にこれ以上のめりこむことは避けるべきだ。今回のG20でそういう問題意識は共有されなかったが、軌道修正するときが来ているのではないか。
本当に必要な政策は長期的に経済を安定させる構造改革だ。中国なら過剰設備・過剰債務の解消や国有企業改革、欧州は財政統合の深化、日本は税と社会保障改革や財政の安定である。
心配なのは、各国が有効な手が見つからないなかで自国の輸出産業を有利にする通貨安政策に走ることだ。G20でも通貨安競争はしないことを確認した。
ただ、日本銀行が導入したマイナス金利政策には通貨安を促す効果がある。これを導入している日欧がこの政策を継続・強化すれば世界の通貨安競争を招きかねない。クリントン前国務長官など米大統領選の有力候補者たちが日本の円安誘導を批判しているのも気になる動きだ。
そもそも日欧が続ける超金融緩和は一時的なカンフル剤にすぎず、期待された経済成長にはつながってこなかった。しかもその長期化が次第に市場機能を損なう副作用の方が深刻になってきている。
日欧は一刻も早くこの「緩和依存」から脱却しなければならない。そのためにこそ主要国の協調が必要ではないか。
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