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【福島第1原発事故 5年目の真実(2)】
「自分は今、戦場の真っただ中にいる」 陸自、警視庁精鋭が放水 2号機の危機「東日本壊滅」よぎる
「2号機はこのまま水が入らないでメルト(ダウン=炉心溶融)して、完全に格納容器の圧力をぶち破って燃料が全部出ていってしまう。その分の放射能が全部外にまき散らされる最悪の事故ですから。われわれのイメージは東日本壊滅ですよ」。吉田氏は切迫した当時の様子を調書に残している。
「やばい状況になり、親方(吉田氏)から『退避する準備をしておけ』との指示が所員にあったが、ストレートにいうと、死んじゃうんだろうなと思った」
吉田氏とともに当時、原発内部にいた40代の元所員はこう述懐する。元所員は、部屋にあったホワイトボードに吉田氏から「名前を書いて」と言われたことを覚えている。必要な人員だけを残す作業だ。ボードに名前を書いた元所員らは限られた人数で事故対応に命をかけて取り組んだ。後に「フクシマ・フィフティーズ」(福島の50人)と称賛される面々だ。
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昨年暮れ、東京・内幸町の東京電力本店で、川村慎一・原子力設備管理部長が、危機を招いた2号機の原子炉圧力を下げるための弁が動かなかったのは、弁を作動させるための「電磁弁」と呼ばれる装置のシール材が高熱で溶けたためだったとする検証結果を公表した。
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