インターネット検索サイト「グーグル」の検索結果から、自身の逮捕に関する記事の削除を男性が求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁(小林久起裁判長)が「犯罪の性質にもよるが、ある程度の期間の経過後は、過去の犯罪を社会から『忘れられる権利』がある」と判断し、削除を認める決定を出していたことが27日、分かった。
検索結果の削除を命じた司法判断はこれまでにもあるが、専門家によると、ネット上に残り続ける個人情報の削除を求めることを「忘れられる権利」と明示し、削除を認めたのは国内初とみられる。
決定は昨年12月22日付。決定などによると、男性は児童買春・ポルノ禁止法違反の罪で罰金刑の略式命令が確定。名前と住所で検索すると3年以上前の逮捕時の記事が表示されていた。
男性の仮処分申し立てに対し、さいたま地裁が昨年6月、「更生を妨げられない利益を侵害している」として削除を命令。グーグル側がこの決定の取り消しを求め異議を申し立てていた。
検索結果の削除を認めた司法判断は2014年10月の東京地裁の仮処分決定などがある。プライバシー権の侵害などを理由としており、「忘れられる権利」への言及はなかった。
決定に対しグーグル側は再度不服を申し立て、東京高裁で審理中。コメントはしなかった。〔共同〕