【動画】阿蘇の草千里ケ浜で野焼きが復活した=高橋伸竹撮影
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 熊本県・阿蘇の草千里ケ浜の野焼きが27日、約50年ぶりに復活した。阿蘇を代表する観光地だが、人手不足などで長らく途絶えていたといい、野焼きの再開に取り組む県が「草原再生のシンボルに」と牧野(ぼくや)組合などと実現にこぎつけた。

 この日は草寄せなどの後、午後1時ごろ、草千里ケ浜(約75ヘクタール)の北側約30ヘクタールに本格的に火入れ。観光客らが見守る中、枯れ草はバチバチと音を立てて燃え上がり、一面を黒く染めていった。

 野焼きは草原の維持や害虫駆除などが目的。地元の牧野組合によると、草千里ケ浜では、人手不足などで50年ほど前に途絶え、放牧された牛が草を食べることで景観が維持されていた。しかし、2010年に宮崎県で起きた家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)を機に、防疫のため、人の立ち入る草千里での牛の放牧が中止され、草原の荒廃が進んでいた。

 阿蘇一帯の草原約2万2千ヘクタールでは県が13年度から黒川牧野などで野焼きを復活させ、現在約1万6千ヘクタールで行われているが、管理する牧野組合の組合員減少などのため、作業は年々難しくなっているという。(尾立史仁)

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