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ひそかブログ

アニメでするリアルの話、リアルでするアニメの話。そういうのが好きです。

僕だけがいない街 - 伊藤智彦監督インタビューから5点。火サスよりも海外ドラマ感、作品全体の演出方針など

僕だけがいない街 アニメ感想・アニメ関連の話

僕だけがいない街 監督インタビュー 演出意図 キャスト

先日購入した雑誌「Febri」(フェブリ)のVOL.33に、2016冬アニメ「僕だけがいない街」の監督、伊藤智彦さんのインタビューが掲載されていました。この記事は、インタビュー内容から印象的だったところを5点ほど要約したものになります。


Febri Vol.33

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伊藤智彦監督について

まずは僕街と伊藤智彦監督について。
雑誌Febriに掲載されていた紹介文章です。

― ソリッドな演出、先が気になるストーリー展開で話題のアニメ「僕だけがいない街」・監督の伊藤智彦は「ソードアート・オンライン」シリーズ、「銀の匙 Silver Spoon」(第1期)などの注目作で、確かな手腕を見せてきた実力派だ。そんな彼は今作を手がけながら、どんなことを考えているのだろうか。


私は伊藤智彦監督というと「世紀末オカルト学院」がまっさきに浮かびます。(「世紀末オカルト学院」とはA-1 Picturesによる企画「アニメノチカラ」の第3弾作品で、放送は2010年です) 

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「ソードアート・オンライン」の放送が始まったころ、伊藤智彦さんにとって「世紀末オカルト学院」が初監督作品だったと知りました。初めての監督作品か…… ずいぶん力が入ったんだろうなあ。


続いてインタビュー部分へ。全部で5点ほどになります。

インタビューから5点

1. 原作とアニメを同時終了させる意図

展開がダレるよりも密度を濃く ―

それが監督の意図らしいです。
8巻で完結の予定になっているマンガの僕街。それをたとえば4巻までを1クールで区切ったりするよりも、むしろ展開を間延びさせずに密度を濃く1クールで完結させた方がいい。そして視聴者もそれを望むはず。監督はそんな意図でアニメはマンガとほぼ同時に完結するという形にしたそうです。

同時完結は公式ツイッターにも書かれていたんですけど、アニメのスローなペースに疑心暗鬼が強まってきてました。本当に同時に終わるのか?と。しかしアニメは残り4話でマンガ4冊分をやるってことですね。ここから(第9話以降)はハイペースな展開になりそうだなー

2. 火サスよりも海外ドラマ感

火曜サスペンス劇場みたいなノリではなく海外ドラマ感を。それがスタッフの共通認識。

伊藤智彦監督が僕街の参考作品としてあげていたのは、デヴィッド・フィンチャーの一連の作品と、デンマークのドラマ「THE KILLING/キリング」でした。あれっ、デヴィッド・フィンチャーって映画「セブン」の人だっけ? 
ああそうですね。
David Fincher(デヴィッド・フィンチャー)は映画「セブン」や「ファイトクラブ」の監督でした。wikiによれば、彼の特徴は色調を抑えた暗い画づくり、とのことです。

デヴィッド・フィンチャー - Wikipedia


「セブン」も「ファイトクラブ」も、個性的な作品だったなぁ…… 
↓ 映画「セブン」

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伊藤智彦監督いわく、彼は心理的演出は決して苦手ではないとのことです。なぜなら各話演出で「DEATH NOTE」や「MONSTER」などを手がけてきたから。むしろ彼にとっては「ソードアート・オンライン」の方が異色の作風らしいです。
ふうむなるほどー 
伊藤監督は海外ドラマ的な心理演出が好きなんですね。それを知り、彼の次回作に対する期待度が上がりました。


3. 各話の作画違い

僕街は総作画監督システムじゃないので、各話ごとに作画監督の色が出ている

監督は今作で、各話ごとに絵柄が多少バラけてもいいからその代わりに各話の作監には責任を持ってやって欲しかったそうです。
視聴者の方には「この話数の悟はちょっと可愛い」とか、「この話数の大人悟はシャープな印象だな」とか、各話ごとに出ている作画監督の色を味わってもらえたら、ということでした。

え、そうなの?
ぜんぜん違いを感じなかった (・⊝・;)
きっとわかる人には違いが分かっているんでしょうね。


4. 僕街全体の演出方針

全体の演出方針について。ここは伊藤監督による言葉をそのまま転載させていただきます。

「原作のコマに引っ張られないように」とは、各話の演出やコンテマンには伝えました。
原作で印象的なコマはどうしても使いたくなるんですが、今作の場合は細かい各コマをそのまま絵コンテには移せないので。
あとは「単調な絵作りにならないように。なるべく逆光に。ドラマチックな絵作りに」とか、そういう指示は出していました。


なるべく逆光に……か。
言われてみればたしかにそうかも。
太陽によるハイコントラストな逆光ではなく、建物の灯(あか)りや街灯による逆光はけっこうあったかもしれない……
できれば頭にメモっといて、次回以降の視聴でより強く “逆光” を意識したいと思います。

ちなみに演出つながりで。
リバイバルシーンに出てくる青い蝶の話です。
わたしなどはすかさず映画「バタフライ・エフェクト」を連想しちゃうんですけど、監督によれば青い蝶は「バタフライ・エフェクト」を意識したわけではなく、別作品へのオマージュだそうで。残念ながら作品名は内緒とのこと。


↓ 映画「バタフライ・エフェクト」

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ええ~ オマージュ作品ってなんだろう? 気になる……
リバイバルシーンのような青い蝶って、以前どっかで見た気がするんですけどその作品が何だったかずっと思い出せないんですよね。誰か分かる人いないかなあ? 


5. 高山みなみさんと宮本充さんのキャスティング理由

高山みなみさん(悟の母・藤沼佐知子役)と、宮本充さん(教師の八代学役)
この2人の配役はオーディションではなく、監督による指名だそうです。

高山みなみさんのキャスティング理由

ポイントはふたつで、30代(1988年)と50代(2006年)を演じ分けられることと、あまり「女らしすぎない」こと。そういう意味で、男の子役をこなせる人がいいだろうと高山みなみさんが頭にビビっと浮かんだそうです。

いやあ、申し訳ない話ですけど。
30代と50代の演じ分けとか、全然気づきませんでした(汗)。今から第1話を見返せば、演じ分けを感じられるかもしれないですね。

宮本充さんのキャスティング理由

こちらは「血界戦線」つながりでした。
伊藤監督がアニメ「血界戦線」に絵コンテで参加したときに、スティーブン・A・スターフェイズ役・宮本充さんの声のマイルドさがいいなと思い、お願いしたとのことです。たしかにスティーブンの演技は独特な雰囲気で良かったですね。

↓ スティーブン・A・スターフェイズ
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宮本さん演じるスティーブンは、熱過ぎずかといってドライ過ぎというわけでもなく。クールな中にどこか温もりのある演技に感じました。


ちなみに伊藤監督が絵コンテで「血界戦線」に参加しているのは、第10話の「ラン!ランチ!!ラン!!!/to the end.」と第11話の「Paint It Black」になります(絵コンテはどちらの話数も松本理恵監督との共通クレジット)


最後に

ということで。
伊藤智彦監督のインタビューから、印象的だったところを5点ほどあげてみました。

まるで気がつかない製作者の意図ってたくさんあるものですね、当たり前の話ですけど。各話のキャラ作画違いとか高山みなみさんの演じ分けとか、言われない限り私は気づかなかったと思います。

僕街は第8話で全体の2/3を消化しました。
TVシリーズは残り話数の方が少なくなっちゃいましたけど、次回からは監督インタビューの内容を頭の片隅にでもおいて視聴したいです。そしてみなさんにとってもこの記事が、ちょっとでも視聴のお役に立ったら嬉しい限りです。


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