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核兵器廃絶に向け検討 初の国連作業部会開催2月23日 7時35分
核兵器の廃絶に向けた法的措置などを検討する国連の初めての作業部会が、すべての核保有国が欠席するなかスイスで開かれ、日本政府は唯一の被爆国として、引き続き、核保有国との橋渡し役を担っていく考えを示しました。
核兵器の廃絶に向けた法的措置などを検討する国連の作業部会は、去年12月の国連総会で賛成多数で開催が決まったものです。
スイスのジュネーブで22日、5日間の日程で始まった初めての会合には、開催に反対するすべての核保有国が欠席しましたが、より現実的な核軍縮を目指すべきだとする日本など、90か国余りが出席しました。
初日は、各国政府やNGOの代表などが演説し、このうち日本の佐野利男軍縮大使は「唯一の被爆国として核廃絶は強い願いだ」としたうえで、「核保有国も巻き込んだ取り組みを進めなければ実効性は失われる」と指摘し、引き続き、核保有国との橋渡し役を担っていく考えを示しました。
また、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の事務局次長で、1歳のときに広島で被爆した藤森俊希さん(71)は、通訳を通じて、「すべての国の人々に被爆者と同じ苦しみをさせてはならない」と述べ、核廃絶に向けた議論を前進させるよう訴えました。
国連の作業部会はことし8月にかけて3回に分けて開かれる予定で、各国などからの意見を取りまとめた報告書が9月の国連総会に提出されることになっています。
スイスのジュネーブで22日、5日間の日程で始まった初めての会合には、開催に反対するすべての核保有国が欠席しましたが、より現実的な核軍縮を目指すべきだとする日本など、90か国余りが出席しました。
初日は、各国政府やNGOの代表などが演説し、このうち日本の佐野利男軍縮大使は「唯一の被爆国として核廃絶は強い願いだ」としたうえで、「核保有国も巻き込んだ取り組みを進めなければ実効性は失われる」と指摘し、引き続き、核保有国との橋渡し役を担っていく考えを示しました。
また、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の事務局次長で、1歳のときに広島で被爆した藤森俊希さん(71)は、通訳を通じて、「すべての国の人々に被爆者と同じ苦しみをさせてはならない」と述べ、核廃絶に向けた議論を前進させるよう訴えました。
国連の作業部会はことし8月にかけて3回に分けて開かれる予定で、各国などからの意見を取りまとめた報告書が9月の国連総会に提出されることになっています。
国連前事務総長が核軍縮へ議論呼びかけ
今回の作業部会に出席した前の国連事務総長のコフィ・アナン氏は、会合の冒頭で演説を行い、「NPT=核拡散防止条約が発効してから45年以上が経過しているが、核軍縮を巡る状況は進展がない」と指摘しました。
そのうえで、「世界中で核弾頭が配備され、核保有国は兵器を近代化させている」と述べ、核軍縮が進まないどころか、むしろ状況は悪化しているとして強い懸念を示しました。
さらに、アナン氏は「この作業部会が近年の核軍縮を巡る議論の突破口になることを強く期待している」と述べ、参加国に対し、核軍縮と核不拡散を目指して議論を前進させるよう呼びかけました。
そのうえで、「世界中で核弾頭が配備され、核保有国は兵器を近代化させている」と述べ、核軍縮が進まないどころか、むしろ状況は悪化しているとして強い懸念を示しました。
さらに、アナン氏は「この作業部会が近年の核軍縮を巡る議論の突破口になることを強く期待している」と述べ、参加国に対し、核軍縮と核不拡散を目指して議論を前進させるよう呼びかけました。
佐野軍縮大使「核の保有国と非保有国の橋渡し」
初日の作業部会のあと、日本の佐野利男軍縮大使は記者団に対し、日本政府が、作業部会の開催を巡る国連総会での採決を棄権しながら初会合に出席したことについて、「先般の北朝鮮の核実験など安全保障環境が厳しくなっていくなかで、核保有国も含め国際社会が一致した形で核軍縮を進めることが効果的だと考えている」と述べました。
そのうえで、「核保有国の協力が得られない形で議論を進めるのは、国際社会が一致して核軍縮を目指していく環境が整備されないことになる」と述べ、日本政府の立場に理解を求めました。
さらに佐野大使は、作業部会の設置に反対した核保有国との連携について、「現実的な核軍縮を進めていくうえで、日本は核の保有国と非保有国の橋渡しという役割を担っている」と述べ、核保有国も巻き込んで核軍縮を進めていくべきだという考えを改めて示しました。
そのうえで、「核保有国の協力が得られない形で議論を進めるのは、国際社会が一致して核軍縮を目指していく環境が整備されないことになる」と述べ、日本政府の立場に理解を求めました。
さらに佐野大使は、作業部会の設置に反対した核保有国との連携について、「現実的な核軍縮を進めていくうえで、日本は核の保有国と非保有国の橋渡しという役割を担っている」と述べ、核保有国も巻き込んで核軍縮を進めていくべきだという考えを改めて示しました。
「最後の力振り絞って参加」「核の法的禁止を」
初日の作業部会のあと、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の事務局次長の藤森俊希さんは、NHKなどの取材に対し、「被爆者の平均年齢が80歳を超え、最後の力を振り絞って、地球上から核兵器をなくそうという思いで参加した」と述べました。
また、日本政府が作業部会の開催を巡る国連総会での採決を棄権しながら初会合に出席したことについては、「日本はアメリカの核の傘のもとで安全保障を確保するという立場だが、それだけでは国民の支持は得られないと感じていると思う」と述べました。
そのうえで藤森さんは、被爆者や国民が日本政府に働きかけ、核保有国の首脳などによる広島・長崎への訪問を実現させるなど、努力を続ける必要があるという考えを強調しました。
また、核廃絶を目指す自治体でつくる「平和首長会議」の事務総長で、広島平和文化センターの小溝泰義理事長は「被爆者の方々のような思いを二度とさせてはならず、核の法的禁止を進めなければならない」と述べました。
そして、「核の傘のもとにある国も参加し対話が始まったことは高く評価したい。核への依存をなくすため市民社会が大きな流れを作り、各国の指導者がアクションを取りやすい状況をいかに作るのかも問われている」と述べ、各国のNGOなどと意見交換し、核廃絶に向けた議論を主導していきたいという考えを示しました。
また、日本政府が作業部会の開催を巡る国連総会での採決を棄権しながら初会合に出席したことについては、「日本はアメリカの核の傘のもとで安全保障を確保するという立場だが、それだけでは国民の支持は得られないと感じていると思う」と述べました。
そのうえで藤森さんは、被爆者や国民が日本政府に働きかけ、核保有国の首脳などによる広島・長崎への訪問を実現させるなど、努力を続ける必要があるという考えを強調しました。
また、核廃絶を目指す自治体でつくる「平和首長会議」の事務総長で、広島平和文化センターの小溝泰義理事長は「被爆者の方々のような思いを二度とさせてはならず、核の法的禁止を進めなければならない」と述べました。
そして、「核の傘のもとにある国も参加し対話が始まったことは高く評価したい。核への依存をなくすため市民社会が大きな流れを作り、各国の指導者がアクションを取りやすい状況をいかに作るのかも問われている」と述べ、各国のNGOなどと意見交換し、核廃絶に向けた議論を主導していきたいという考えを示しました。