2016年02月27日
新種牡馬辞典 - シャドウゲイト
新種牡馬辞典、二十七弾はシャドウゲイト。コスモバルクとワンツーフィニッシュを決めたシンガポール航空国際C勝ちが光る*ホワイトマズル産駒で、10歳という高齢ながらアイルランドに移籍し、見事現地での種牡馬入りを勝ち取りました。おそらく日本で種牡馬になることはかなり厳しかったでしょうが、アイルランドでは*ダンシングブレーヴの孫であること、さらに母父に*サンデーサイレンスがいることも評価されたのでしょうか。種付け頭数はあまり多くないと思われますが、ぜひ結果を残してほしいです。
シャドウゲイト Shadow Gate
社台ファーム産 2002年生 黒鹿毛 父系:ダンシングブレーヴ系
父*ホワイトマズルは伊ダービーの勝ち馬で、凱旋門賞やキングジョージでも2着の実績がある。種牡馬としての代表産駒はオークス馬スマイルトゥモロー、天皇賞馬イングランディーレ、菊花賞馬アサクサキングスなど。受胎率や勝ち馬率は低かったが、当たれば一発大物の魅力のある種牡馬だった。海外で種牡馬入りする産駒はイングランディーレに続く2頭目となる。
母ファビラスターンは通算22戦2勝。重賞実績はなかった。母としては他に川崎マイラーズやアフター5スター賞の勝ち馬で、JBCスプリントでも2着に入ったサトノタイガーなどを出している。なお、*ホワイトマズル×*サンデーサイレンスという配合は他にアサクサキングスやシルポート、シンゲンなどが出ており、実に重賞ウイナーの3分の1がこの配合である。
祖母カッティングエッジは通算11戦6勝。クイーンCや3歳牝馬S(東)などを制した活躍馬で、母としては中央で2〜3勝をあげた馬は多いものの、活躍馬と呼べるレベルの産駒は出していない。ひ孫に神戸新聞杯の勝ち馬イコピコがいる。カッティングエッジの半弟ディヴァインライトは重賞未勝利馬だったが、種牡馬として海外に輸出され、英1000ギニーなど英GI2勝の Natagora の父となった。
<競走成績>
3歳時にはプリンシパルSで2着に入りダービーや菊花賞に出走したが、いずれも大敗している。素質が開花したのは5歳時で、準オープンの身で出走した中山金杯で重賞初勝利をあげると、5月にはシンガポール航空国際Cに遠征し、コスモバルクとのワンツーフィニッシュを決めGI初勝利を飾った。その後はダートなども使われつつたまに重賞で大穴を開けるという競走生活を送ったが、何と10歳にしてアイルランド移籍を表明。受け入れ先はポップロックやキングストレイルも管理した児玉敬調教師で、しかも驚くべきことに移籍初戦の一般戦をレコード勝ちという鮮烈なデビューを飾ったが、その後は1戦しただけで引退した。
<供用実績>
引退後はアイルランドのロングフォードハウススタッドにて種牡馬入り。種牡馬入りに際しては複数のオファーがあったとのことだが、そもそもが日本では種牡馬入りできないことを見越しての海外遠征だったということで、見事その狙いは的中したようだ。やはり*ダンシングブレーヴの直系で、母系に*サンデーサイレンスを含む血は海外で大いに魅力だったのかというところだが、具体的な種付け状況は不明。掲示板上の情報では高齢の英1000ギニー馬に種付けを行ったとのことだが、真偽のほどはわからない。
<傾向予想> 芝:◎ ダ:○ 距離:中〜長 ピーク:4歳〜
ある意味*ホワイトマズル産駒らしい馬で、最も適しているのは芝の中距離だが、ダートもこなし、距離延長も全く問題ない。特に自身がレコード勝ちしているように、オールウェザーの中長距離戦にはかなりの適性がありそうだ。仕上がりは遅く、完成するのは古馬になってからだろう。欧州では完全に裏街道である長距離路線なら十分やれそうなイメージで、個人的には同じ*ホワイトマズル産駒のイングランディーレが挑戦し敗れたアスコット金杯まで駒を進める産駒が出てきたら感無量である。
祖父*ダンシングブレーヴは1980年代の欧州最強馬候補の1頭で、本来なら国外に出て行くような存在ではなかったが、マリー病という不治の病にかかったことから日本に輸入されることとなり、産駒数はそれほど多くないものの多数の活躍馬を送り出した。さらにその産駒である*コマンダーインチーフや同馬の父*ホワイトマズルもそれなりの結果を残したが、反面欧州では後継らしい後継がいなくなり、いまや絶滅寸前である。おそらく種付け数はそれほど多くないと思われるが、少しでも還元できたのは良かった。
社台ファーム産 2002年生 黒鹿毛 父系:ダンシングブレーヴ系
<血統構成> 5代内クロス : | Northern Dancer 4×5 |
*ホワイトマズル White Muzzle GB 鹿毛 1990年 | *ダンシングブレーヴ | Lyphard |
Najavo Princess | ||
Fair of the Furze | Ela-Mana-Mou | |
Autocratic | ||
ファビラスターン 黒鹿毛 1994年 | *サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
カッティングエッジ | *ファバージ | |
メルドスポート |
父*ホワイトマズルは伊ダービーの勝ち馬で、凱旋門賞やキングジョージでも2着の実績がある。種牡馬としての代表産駒はオークス馬スマイルトゥモロー、天皇賞馬イングランディーレ、菊花賞馬アサクサキングスなど。受胎率や勝ち馬率は低かったが、当たれば一発大物の魅力のある種牡馬だった。海外で種牡馬入りする産駒はイングランディーレに続く2頭目となる。
母ファビラスターンは通算22戦2勝。重賞実績はなかった。母としては他に川崎マイラーズやアフター5スター賞の勝ち馬で、JBCスプリントでも2着に入ったサトノタイガーなどを出している。なお、*ホワイトマズル×*サンデーサイレンスという配合は他にアサクサキングスやシルポート、シンゲンなどが出ており、実に重賞ウイナーの3分の1がこの配合である。
祖母カッティングエッジは通算11戦6勝。クイーンCや3歳牝馬S(東)などを制した活躍馬で、母としては中央で2〜3勝をあげた馬は多いものの、活躍馬と呼べるレベルの産駒は出していない。ひ孫に神戸新聞杯の勝ち馬イコピコがいる。カッティングエッジの半弟ディヴァインライトは重賞未勝利馬だったが、種牡馬として海外に輸出され、英1000ギニーなど英GI2勝の Natagora の父となった。
<競走成績>
年 (歳) | 戦 | 勝 | 主な実績 |
2005年 (3歳) | 8 | 2 | 1着 グリーンチャンネルC(500) T1800 1着 未勝利戦 T1800 2着 プリンシパルS(OP) T2000 |
2006年 (4歳) | 7 | 2 | 1着 香取特別(1000) T1800 1着 大森浜特別(500) T1800 |
2007年 (5歳) | 7 | 2 | 1着 シンガポール航空国際C(SIN-I) T2000 1着 中山金杯(GIII) T2000 2着 産経大阪杯(GII) T2000 5着 香港C(HK-I) T2000 |
2008年 (6歳) | 5 | 0 | 3着 川崎記念(GI) D2100 |
2009年 (7歳) | 7 | 0 | 2着 金鯱賞(GII) T2000 |
2010年 (8歳) | 5 | 1 | 1着 中京記念(GIII) T2000 2着 アメリカジョッキークラブC(GII) T2200 |
2011年 (9歳) | 7 | 0 | 2着 中京記念(GIII) T2000 |
2012年 (10歳) | 2 | 1 | 1着 一般戦(IRE) AW10F150Y |
計 | 48 | 8 |
3歳時にはプリンシパルSで2着に入りダービーや菊花賞に出走したが、いずれも大敗している。素質が開花したのは5歳時で、準オープンの身で出走した中山金杯で重賞初勝利をあげると、5月にはシンガポール航空国際Cに遠征し、コスモバルクとのワンツーフィニッシュを決めGI初勝利を飾った。その後はダートなども使われつつたまに重賞で大穴を開けるという競走生活を送ったが、何と10歳にしてアイルランド移籍を表明。受け入れ先はポップロックやキングストレイルも管理した児玉敬調教師で、しかも驚くべきことに移籍初戦の一般戦をレコード勝ちという鮮烈なデビューを飾ったが、その後は1戦しただけで引退した。
<供用実績>
年度 | 種付料 | 種付数 | 生産数 | 登録数 | 供用場所 |
2013 | − | − | − | − | ロングフォードハウススタッド |
2014 | − | − | − | − | 〃 |
2015 | − | − | − | − | 〃 |
2016 | − | − | − | − | 〃 |
引退後はアイルランドのロングフォードハウススタッドにて種牡馬入り。種牡馬入りに際しては複数のオファーがあったとのことだが、そもそもが日本では種牡馬入りできないことを見越しての海外遠征だったということで、見事その狙いは的中したようだ。やはり*ダンシングブレーヴの直系で、母系に*サンデーサイレンスを含む血は海外で大いに魅力だったのかというところだが、具体的な種付け状況は不明。掲示板上の情報では高齢の英1000ギニー馬に種付けを行ったとのことだが、真偽のほどはわからない。
<傾向予想> 芝:◎ ダ:○ 距離:中〜長 ピーク:4歳〜
ある意味*ホワイトマズル産駒らしい馬で、最も適しているのは芝の中距離だが、ダートもこなし、距離延長も全く問題ない。特に自身がレコード勝ちしているように、オールウェザーの中長距離戦にはかなりの適性がありそうだ。仕上がりは遅く、完成するのは古馬になってからだろう。欧州では完全に裏街道である長距離路線なら十分やれそうなイメージで、個人的には同じ*ホワイトマズル産駒のイングランディーレが挑戦し敗れたアスコット金杯まで駒を進める産駒が出てきたら感無量である。
祖父*ダンシングブレーヴは1980年代の欧州最強馬候補の1頭で、本来なら国外に出て行くような存在ではなかったが、マリー病という不治の病にかかったことから日本に輸入されることとなり、産駒数はそれほど多くないものの多数の活躍馬を送り出した。さらにその産駒である*コマンダーインチーフや同馬の父*ホワイトマズルもそれなりの結果を残したが、反面欧州では後継らしい後継がいなくなり、いまや絶滅寸前である。おそらく種付け数はそれほど多くないと思われるが、少しでも還元できたのは良かった。
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この記事へのコメント
1. Posted by 即身仏 2016年02月27日 23:30
根こそぎ日本に輸出されたダンシングブレーヴの系統の馬が種牡馬としてヨーロッパに戻ってくるのは確かに感慨が深いものがあります。
こういう事が分かるだけでもこのサイトの有難味をしみじみと噛み締めております。
後は、ホワイトマズルの系統が日本で根付いてくれる事を祈るのみであります。
こういう事が分かるだけでもこのサイトの有難味をしみじみと噛み締めております。
後は、ホワイトマズルの系統が日本で根付いてくれる事を祈るのみであります。