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大阪・梅田で、自動車の暴走事故があった。
→ 暴走車、時速30〜40キロか…事故直前急発進
→ 梅田暴走、運転手死因は大動脈解離…直前発症か
この事故のあとで、「自動運転車の普及を急げ」という声が多く上がった。しかし、自動運転車はまだまだ開発途上だ。未完成品を普及させたら、かえって事故が増えてしまう。
また、人が死亡したら自動車を自動停止させる装置(デッドマン装置)を普及させよ、という声もあるが、こんな稀な事故のために高額な装置を普及させるのは無駄だ。そもそも、本人が死んだあとでは、本人にとってメリットが何もないから、普及するはずもない。
( ※ デッドマン装置は、鉄道のためにあるのであって、自動車のためにあるのではない。)
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では、どうすればいいか?
今回の事故の現場は、スクランブル交差点で、車両は全赤だった。とすれば、「赤信号で自動ブレーキ」という装置があれば、それだけで足りる。自動ブレーキがいったん普及すれば、あとは自動車が赤信号を自動認識するだけで済む。
では、そのような技術は、あるか? ある。
(1) 自動ブレーキ
自動ブレーキはすでに完成した技術であり、実際に普及している。各社から販売されている。
→ 【ぶつからないクルマ】「自動ブレーキ」の各社比較
→ 最近話題の自動ブレーキシステムいろんなメーカーの車でガチ実験!!ちゃんと止まったのはあのメーカーの車
→ 自動ブレーキ安全度評価でこれだけ差が開いた理由
二番目のページを見ると、各社の製品があるが、実際にまともに作動するのは、スバルだけであるようだ。やっぱりね。
最後のページを見ると、トヨタと日産も、高価格の車では、ちゃんとした自動ブレーキがあるようだ。
スバルについては、統計データもある。
→ 自動ブレーキで事故6割減 変化迫られる自動車保険
(2) 赤信号への対応
自動ブレーキを赤信号に対応させる技術は、すでにある。
→ スバルの新型アイサイトはどこまで自動運転が可能か?
→ 日産LEAFが国内公道テスト開始。赤信号で自動停止
→ 赤信号を認識して自動的にブレーキをかけてくれる スバル
技術は完成しているようだが、実際には発売されていない。
これは、「交通省が利権のために妨害しているからだ」という陰謀論がある。
→ 自動運転化に待ったを掛けている国交省。赤信号での自動ブレーキ認めず
本当かどうかは知らないが、スバルが発売予定だと3年も前に言っているのに、いまだに発売されないのだから、たしかに誰かが妨害しているようだ。( ¶ )
- ¶ あとで調べたところ、スバルの自動ブレーキ車には、赤信号を認識する装置がすでに搭載されているそうだ。( → 出典 ) ただし、自動ブレーキを作動させる機能だけが、なぜか付いていない。かわりに、計器盤にマークが出て、アクセルが弱まるだけ。「何が何でも自動ブレーキを赤信号に連動させまいとする」という行政の強い意思が働いているようだ。
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ともあれ、今回の暴走事故のような事故を防ぐには、「赤信号で自動ブレーキ」という装置があれば足りる。自動運転車という高度な技術は必要ない。単に自動ブレーキの自動車を普及させればいいのだ。そして、その自動ブレーキという技術は、歩行者を守るだけでなく、運転車をも守る。事故の発生率が大幅に低下して、保険料をはっきりと低下させるほどの大きな効果がある。
ここに着目するのがいいだろう。
[ 付記 ]
この分野では、スバルが圧倒的に優れている。
一方、次のニュースもある。
→ 米国の自動車ブランド番付に異変、「レクサス」追い抜いた「スバル」
→ スバル、米ブランド番付2位 首位アウディ
スバルのブランド価値は米国で圧倒的に高まり、これまでずっと1位だったレクサスを越えて、日本車ではトップになった。
その理由は、いろいろとある。(ボディサイズがアメリカ人好みだとか、デザインが急激に向上したとか。)……だが、それらの点では、ベンツや BMW を越えているわけではない。
スバルが何よりも圧倒的に優れているのは、安全性だ。衝突安全性もそうだし、走行安全性もそうだ。この点が、特に高級感の意味で、ブランド価値を与えているのだろう。
逆に言えば、「安全は金儲けになる」のである。たしかに安全装置は大幅にコストが上昇するが、その一方で、「高い金を払ってもその車がほしい」というユーザーに高価格で販売できる。これがスバルの経営手法だ。やたらとコストダウンばかりを狙うトヨタや日産とは正反対だ。
具体的に言うと、各社の利益率は、下記の通り。
→ 16年3月期見通し
見ればわかるように、富士重工の利益率は、圧倒的だ。トヨタよりもはるかに上だ。日産とホンダは最低レベルだ。
ちなみに、富士重工の経常利益は、4357億円。日産自動車の経常利益は、5875億円。大差はない。利益の額で見る限りは、富士重工は日産自動車と同程度の規模になっているわけだ。唖然。
というわけで、安全性に力を入れると、これほどにも大儲けできるわけだ。ここを理解できていないのが、他の会社だ。だから、不完全な自動ブレーキを出して、実車テストで恥をかいて、ブランド価値を下げてしまうわけだ。
( ※ ちなみに日産は、今回のブランド番付で、ベスト 10にも入らない。以前はインフィニティだけは入っていたのに、今ではインフィニティもこぼれた。マツダ以下だ。というか、韓国車にも遠く及ばない 21位、22位だ。情けないね。)
【 関連サイト 】
最新版の自動ブレーキテスト (2015)
→ https://youtu.be/91qrcnoatrQ
時速 20キロだと、たいていの自動ブレーキが有効だ。軽自動車でもOK。
時速 40キロ以上だと、多くの自動ブレーキが力不足となり、前方にあるものに衝突してしまう。衝突を避けられるのは、スバルのほかは、スカイラインなど一部高級車だけ。
このことからも、事前に十分に減速しておくことが大事だ、とわかる。赤信号を認識しておけば、交差点に入る前に減速するから、(スバル以外の)未熟な自動ブレーキでもうまく衝突を避けられそうだ。
( ※ スバルだけが特別に優秀なのは、[ほぼ]スバルだけがステレオカメラを使っているから。AI 技術で衝突防止をしている。横から来る歩行者についても予測ができる。一方、他社のは、レーダーを使うものなので、あまりにも原始的だ。もちろん、横断歩道に入る歩行者の行動予測もできない。……自動車会社の AI 技術は、これほどにも時代遅れなのだ。スバル[など]を除いては。 → 参考 , スバル公式 )
【 追記 】
よく調べたら、他社の技術が後れているというよりは、スバルの技術が特許で固められていて、他社は手を出せないようだ。
(3)ステレオカメラの特徴
4)自社ノウハウを保護する特許を多数出願している。
・ステレオカメラ関連の特許出願は約200件。
・立体物認識アルゴリズムに関しては歩行者検知も含め120件程度、路面状態認識アルゴリズムに関しては20件程度の出願をしている。
・さらに特徴的なことに、カメラ取付/調整/検査関連の特許も20件以上出願している。
( → 車載カメラ応用システムの採用拡大状況と今後の動向 )
スバルが独占して、他社に使わせないと、歩行者の死者が増えてしまう。スバルとしては、技術の有償販売を実施するべきだろう。
( ※ ステレオカメラなんて、誰でも思いつくようなこと自体は、特許には入っていないと思う。トヨタもステレオカメラ方式を採用しているからだ。何らかの具体的なノウハウが特許になっているのだろう。……ならば、技術をまとめて、自動ブレーキ技術の子会社を設立して、技術と装置を世界的に販売するべきだ。ちょうど、エアバッグの製造会社のように。そうすれば、技術の恩恵が世界に行き渡るし、スバルは莫大な売上げを獲得できる。ひょっとしたら、スバル本体以上の売上げになるかも。)
《 加筆 》
コメント欄で教わったが、日立がステレオカメラの装置を出しているそうだ。調べてみたら、スズキが実装している。
→ http://techon.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20150630/425624/
スバルじゃなくて、日立が販売しているんですね。だったら、各社は、日立からステレオカメラを買うとよさそうだ。実査、スズキはすでに買っているんだし。
暴走始めるまでの時間が少しずれるだけで結果は同じの気がしますが。
むしろ赤信号で暴走しても人や車に衝突しなければいいのであって。つまり普通の前方障害物での自動ブレーキで良い。
あまり問題ないでしょう。交差点でいったんストップすれば、歩行者をはねる事故はなくなる。そのあとまた加速するにしても、最初は微速度だから問題ない。20メートルぐらい走って、時速 20キロになるとしても、そこはもはや横断歩道ではない。
> 暴走始めるまでの時間が少しずれるだけ
場所が違います。交差点では歩行者の被害が莫大だが、道路の途中ならせいぜい柱にぶつかるだけ。
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> 普通の前方障害物での自動ブレーキで良い。
自動ブレーキなんだから、もちろん、その機能はあります。それに赤信号認識が付いたからといって、別に悪くなるわけじゃないし、安全度が高まるだけです。
あと、スバル以外は、前方認識が不十分で、横断歩道の歩行者をはねています。参考リンクの動画を参照。
さらに言うと、交差点に高速で突っ込むと、横断歩道の歩行者を避けたくても、急には止まれません。事前に減速しておくことが必要です。
「車は急には止まれない」
という交通標語を思い出しましょう。
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とにかく、自動車の専門家が「赤信号ブレーキは必要だ」と言って、開発して実装しているんだから、「そんなのは無用だ」と素人が言っても、ただの無知による勘違いになるだけです。
自信があるなら、スバルやベンツなどに向かって、「おまえたちは自動車の安全性のことを何も知らないだから、おれが自動車の安全性について教えてやるぞ」と偉そうに言えばいいんです。私に文句を言っても仕方ない。
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いずれにしても、10年以内に基本特許は切れるので、似たような商品が出てくるでしょう。
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