原田実氏の『江戸しぐさの正体』の続編とでもいうべき本が出版された。早速購入。 前著の『江戸しぐさの正体』については以下に書いた。 広まってしまったインチキ江戸『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』 - 火薬と鋼 今回の『江戸しぐさの終焉』は、江戸しぐさの問題点、前著の後に明らかになった事情、その後の推移を整理している。 いくつかは続・江戸しぐさの正体 | ジセダイ―星海社がおくる、行動機会提案サイトに書かれた内容と重なっている。 前著を読んでいなくともわかるように問題を追っているので、これだけ読んでも大丈夫だ。 大きく分けると以下のような内容になっている。 新書ながらかなり多方向から江戸しぐさ問題を追っており、面白さも様々な面で味わえる。 ニセ科学問題を知っている人にはTOSSや親学の問題は知っているだろうから、そのつながりからニセ科学と教育問題について理解しやすいだろうし、偽史問題やメディアの問題、教育行政の問題など、様々な問題と接続している。 江戸しぐさ推進者たちの分裂や優劣などは、まるで武術の流派の継承者の問題のような味わいもある。 江戸しぐさそのものは強い求心力を持った活動としては収まったが、ある程度定着してしまっていて見かける機会はある。 また、今後もこの種のウソが広がろうとすることはあるだろう。 そうした問題に対するカウンターや参考例として、非常に価値のある本だと思う。2016-02-26
■[Skepticism][読書]江戸しぐさを巡る人々と江戸しぐさの衰退『江戸しぐさの終焉』