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 午後1時、対局が再開された。

 持ち時間が1日制対局では最も長い順位戦らしく、ここからは一手一手に時間をかけた長考合戦になることが多い。

■昼食休憩に

 午後0時10分になり、昼食休憩に入った。昼食の出前を注文したのは以下の5人。

渡辺竜王(肉豆腐定食、みそ汁抜き)

郷田王将(みそ煮込みうどん)

森内九段(肉豆腐定食)

広瀬八段(みそ煮込みうどん)

佐藤天彦八段(きつねうどん、もち1個追加)

 注文しなかった5人は外食するようだ。出前をとるか、外食するか。将棋とは直接関係はないが、各棋士の個性が表れる。

 対局は午後1時に再開する。(村瀬信也)

■一番乗りは渡辺竜王

 「将棋界の一番長い日」は、戦いに臨むA級の棋士の一挙手一投足に朝から視線が注がれる。将棋会館の前には、対局開始の約1時間前から報道陣が集まった。

 10人の棋士の到着時刻は以下の通り。

渡辺竜王(午前9時29分)

森内九段(9時32分)

屋敷九段(同)

深浦九段(9時34分)

佐藤康光九段(9時35分)

広瀬八段(9時41分)

郷田王将(9時44分)

久保九段(9時45分)

佐藤天彦八段(9時48分)

行方八段(9時49分)

 一番乗りは渡辺竜王。挑戦権を争う佐藤八段と行方八段は最後に相次いで現れた。

 対局が始まって1時間以上たち、各対局の戦型が固まってきた。行方八段―佐藤八段戦は、佐藤八段が得意の横歩取りに誘導。佐藤九段―渡辺竜王戦も横歩取りに進んでいる。久保九段―森内九段戦は、久保九段の中飛車を見た森内九段が相振り飛車を選択。深浦九段―広瀬八段戦は、深浦九段が相矢倉を採用して、早くも仕掛けている。屋敷九段―郷田王将戦は、屋敷九段がオリジナルの矢倉急戦を採用。久保―森内戦以外は早々に戦いに突入しやすい形で、昼間から目が離せない展開だ。(村瀬信也)

■名人戦・A級順位戦最終戦始まる

 羽生善治名人への挑戦権をトップ棋士10人が争う第74期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦が27日午前10時、東京都渋谷区の将棋会館で5局一斉に始まった。

 対戦カードは次の通り(左が先手)。

行方尚史八段(6勝2敗)―佐藤天彦八段(7勝1敗)

佐藤康光九段(5勝3敗)―渡辺 明竜王(5勝3敗)

久保利明九段(2勝6敗)―森内俊之九段(3勝5敗)

深浦康市九段(3勝5敗)―広瀬章人八段(2勝6敗)

屋敷伸之九段(5勝3敗)―郷田真隆王将(2勝6敗)

 A級9回戦は名人挑戦権とA級残留をかけた熱く長い戦いが続くため、「将棋界の一番長い日」と呼ばれる。

 名人挑戦の可能性があるのは首位の佐藤天八段と2位の行方八段。直接対決で佐藤天八段が勝てば挑戦決定、行方八段が勝てば両者によるプレーオフにもつれ込む。

 一方、成績下位2人がB級1組へ降級する。その恐れがあるのは郷田王将、広瀬八段、久保九段、森内九段の4人だ。

 持ち時間は各6時間。終局は深夜から翌28日未明に及ぶ見通し。(深松真司)