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 不正会計問題で財務力の弱さが露呈した東芝。立て直しへの切り札は医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの売却だ。いま4陣営が争奪戦を演じ、売却額は6千億円超になるともいわれる。なぜ引く手あまたなのか。同社を訪れ、とくに評価が高いCT(コンピューター断層撮影装置)の威力をみせてもらった。

 那須連山をのぞむ栃木県大田原市の工業団地にある東芝メディカルの本社工場。建屋では出荷を待つCTがずらりと並ぶ。最高峰の「320列」と呼ばれる機種は1台約2億円だ。

 CTは、患者にX線を照射して断面図を撮り、血管の異変や腫瘍(しゅよう)などを調べる装置だ。320列CTのカバーを外すと、ドーナツ状の基板が姿を現した。直径約2メートル、重さ900キロの基板が1回0・3秒弱という高速で回転する。振動は感じない。

 320列CTは東芝が2007年に初めて開発に成功した。開発責任者の杉原直樹さんは「X線を受ける検出器が320列分あることで、心臓や脳をまるごと一瞬で撮れる」と話す。