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 韓国の野党議員がテロ防止法案の成立を阻止するため、国会の本会議場で交代で長時間演説し、抵抗を続けている。23日から始まり、夜を徹して行われ、登壇した議員は26日午後6時現在で13人。最大野党「共に民主党」の殷秀美(ウンスミ)議員は10時間18分演説し、韓国国会で史上最長を記録した。

 政府・与党は北朝鮮情勢の緊張を理由に、早期成立を求めている。これに対し、野党側は法案には情報機関「国家情報院」に、テロ容疑者の捜査権や盗聴を認めることが盛り込まれていることなどから、職権乱用や人権侵害の懸念があるとして反対。国会法で認められた時間無制限の演説「フィリバスター」で抵抗を始めた。

 登壇する議員は長時間立ちっぱなしの演説に耐えられるよう運動靴を履いたり、トイレに行かなくてもすむように水を飲むのを控えたりして工夫した。演説ではネットに寄せられた法案に対する意見を紹介したり、歌を歌ったりする議員もいる一方で、議員が法案とは関係がない母子殺害事件に言及し、与党が抗議する場面もあったという。

 野党側は法案の修正を求めてフィリバスターを続ける構えで、与野党の駆け引きが続いている。(ソウル=東岡徹)