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「偶発債務」で交渉延長 契約締結は3月上旬に

会社を出るシャープの社員ら=大阪市阿倍野区のシャープ本社で2016年2月25日午後5時半、貝塚太一撮影

 シャープの高橋興三社長は26日、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘会長と中国で会談した。鴻海によるシャープ支援では、将来返済義務が発生する恐れのある「偶発債務」を巡って鴻海が支援契約の締結を保留している。鴻海がリスクを精査する時間が必要になったため、両者は今月29日としていた交渉期限を延長することで合意した。契約締結は3月上旬にずれ込む見通しだ。

     高橋社長は会談で、偶発債務の内容が支援決定前日になって示されたことを陳謝。鴻海は「大部分が過去に協議した際、知らされていなかった。現状をはっきりさせ、完全な解決策がまとまるよう望んでいる」とする声明を公表した。ただ、鴻海関係者は「手を引くような話にはなっていない」と話し、シャープや主力行も「白紙になることはない」とみている。

     一方でシャープは同日、偶発債務が3500億円に上るとの一部報道を否定するコメントを出した。将来発生する可能性がある債務のうち、ある程度重要なものは開示する必要があり、シャープは2015年3月期の有価証券報告書で▽太陽電池生産から撤退した場合、電力や原材料調達の契約で発生する損失678億円▽会社が肩代わりしている社員の住宅ローンなど、社員が辞めた場合に発生する可能性がある損失124億円−−の計約800億円を偶発債務と明示していた。特許侵害訴訟などで負けた場合の損害賠償金も金額算定不能な偶発債務としているが、シャープは「他に開示が必要と認識しているものはない」と説明する。

     シャープも鴻海も、認識の違いが生じた理由を説明していないが、主力行首脳は「(3500億円には)開示する必要のない相当低いリスクまで含まれているのでは」と指摘。シャープ内には官民ファンド・産業革新機構の支援案を支持する声も根強く、「鴻海の支援案に不満を持つ人たちが、出す必要がない情報まで勝手に鴻海に示した可能性もある」として、シャープの情報管理のずさんさを指摘する見方もある。

     一方、産業革新機構の志賀俊之会長は26日、報道陣の取材に応じ、シャープに対する支援策の検討に当たり、偶発債務の可能性がある項目については「手続きを踏んで押さえている」と述べた。機構は同日、支援策検討の作業を打ち切った。【浜中慎哉、横山三加子、台北・鈴木玲子】

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