世界的臨床医・南淵明宏氏が告発「ノバルティス事件、小保方問題、血圧正常値論争の病根は共通。膿を出すのは今」

2014年05月22日(木) 伊藤 博敏
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「臨床医学を無視した、権威による愚民支配」

――血圧147までが正常値とされ、これまで病人とされてきた患者の反発を買ている問題についてはどうか。


南淵「現場に立つ医者の立場から言えば、そもそも人間の血圧は、いつ計るかで当然、数値にバラつきがあり、誰しも不安定なもの。

それを『正常値は135以下です』と、『合否判定』に使うのはおよそ臨床医学の実態を無視した、権威による愚民支配の試みに思えます。大企業と科学権威が結託した悪辣な陰謀です」

――連続した3つの事象が同根の歪みから発しているとして、何に注意すべきか。

南淵「国民は、これを機に科学権威に対して“性悪説”でかかるべきでしょう。3.11直後、原子力関係の専門家は原発事故を必死で矮小化しようとしたかのような印象を受けました。

ノバルティス事件やSTAP細胞のどさくさ以来、社会はさらに不信の眼差しで科学的権威を見ています。『彼らは誰の身方なのだろう?少なくとも我々大衆、一般庶民、消費者の味方ではないのだろう』という風潮が蔓延する社会の科学研究が、世界をリードできるはずがありません」

――ノバルティス事件は、製薬会社だけでなく大学教授の責任も問われそうだ。

南淵「ノバルティス事件は、製薬会社が大学病院と共謀して臨床医学データを捏造し、それで巨万の利益を得ていたというものです。患者の財布から製薬会社と大学教授がお金を盗んでいたわけで、破廉恥極まりない。これほど悪辣な事件は歴史上、例を見ません。それが問題発覚から三年以上も解明されないままで放置されていることは、もうこの国では犯罪をただす機能が麻痺しているようです。『他のクスリも同じようにデータ捏造だらけじゃないのか』と、医薬の信頼が失われている実情を憂います」

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