厚生労働省などは25日、ブラジルから帰国した川崎市の10代の男子高校生が「ジカ熱」に感染していることが確認されたと発表した。これまで国内では海外で感染して帰国後に発症した日本人が3人確認されており、今回で4例目。中南米での流行拡大を受けた世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言後では初めてとなる。
厚労省は25日夜、担当課長が記者会見し「現在は(感染を媒介する)蚊の活動期ではなく、国内で感染が拡大するリスクは極めて低い」と説明。海外の流行地では蚊に刺されないよう肌の露出を避け、妊婦は流行地への渡航を控えるよう改めて呼びかけた。
同省や川崎市によると、男子生徒は家族と観光目的で今月9~20日にブラジルに滞在し、22日に帰国した。20日に38度弱の発熱があり、22日に発疹が出たため医療機関を受診。25日に国立感染症研究所のウイルス検査で感染が確認された。蚊に刺されたかどうかは不明という。
生徒は現在は熱が下がって自宅で療養しており、状態は安定している。同行した家族に症状は出ていないという。帰国時に検疫所のサーモグラフィーで体表温度を測ったが検知されなかった。
ジカ熱は主にウイルスを持った蚊に刺されて感染する。妊婦の感染と、新生児の頭が先天的に小さくなり知的障害を伴うこともある「小頭症」との関連が疑われている。
昨年5月以降、ブラジルなど中南米でジカ熱の感染が広がっているとしてWHOは今月1日、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言。感染者は最大400万人に達する恐れがあると指摘している。