大阪・梅田のJR大阪駅(大阪市北区)近くの繁華街で乗用車が暴走して歩道に突っ込み、歩行者10人がはねられた事故で、現場に目立ったブレーキ痕が確認されていないことが25日、大阪府警への取材で分かった。運転していた男性は搬送先の病院で死亡した。府警は男性が急性疾患など何らかの理由で意識を失い、車が制御できない状態で現場に進入した可能性もあるとみている。
府警によると、運転していたのは奈良市学園大和町の会社経営、大橋篤さん(51)。同乗者はいなかった。はねられた歩行者のうち、意識不明の重体だった50代ぐらいの男性が同日午後に死亡。28歳とみられる女性が重体、20~70代の男女8人が重軽傷を負った。
府警は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで捜査を始めた。大橋さんに目立った外傷はないといい、司法解剖して詳しい死因を調べる。
現場の交差点は歩行者用と車用の青信号のタイミングを分ける歩車分離式。捜査関係者や複数の目撃者の話によると、当時、車側の信号は赤だったとみられる。交差点の手前の直線道路では、この車が複数回、道路脇のガードレールに接触した形跡もあった一方、交差点や歩道にブレーキ痕は確認されなかった。
車からは酒類や危険ドラッグなどの薬物は見つかっていない。府警は大橋さんの健康状態を捜査するとともに、当時の詳しい状況を調べるため、周辺の防犯カメラ映像の解析を急いでいる。
事故は25日午後0時半ごろ、JR大阪駅の北約100メートルで発生。車は西から交差点に突っ込み、そのまま通過して東側の歩道に乗り上げ、次々と歩行者をはねた。車は歩道上を約40メートル走行し、植え込みに衝突して停止した。