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 「福士選手には名古屋に出場するのは避けてもらいたい」。日本陸連の麻場一徳強化委員長による異例の出場撤回の呼び掛けは届かなかった。ただ、陸連がリオ当確と示せない以上、福士サイドとしては即座に撤回できる話ではない。

 福士を指導するワコールの永山忠幸監督には、多くの声が寄せられているという。大半は「果報は寝て待てば良い。今から五輪本番に向けて調整すべきだ」と、名古屋出場を思いとどまらせようとする声だ。

 実際ここ数年、日本で福士以上に実績を残している選手はおらず、福士が9年ぶりに突破した2時間22分30秒の日本陸連設定記録を名古屋で突破する選手が複数出る可能性は高くない。

 優勝した大阪国際から約1カ月半での再レースによるダメージは、この1年余りで3度の疲労骨折に見舞われた33歳の福士を指導する監督自身が、一番よく分かっている。「五輪でメダルをとる夢に少しでも近づくために、僕も走らせたくはない」と監督は話す。