がん告知を受けた人の約3割が、うつ的症状に陥ると言われています。今の医療現場では、サバイバーの治療に手いっぱいで、患者や家族の心の苦しみを軽減することにまで手が回りません。
そこで、樋野興夫・順天堂大医学部教授は、2008年に医療現場と患者との間を埋めるための「がん哲学外来」を期間限定で設けました。
すると、思いのほか反響があったため、これを一般社団法人化。病院での外来形式から、くつろいだ雰囲気のメディカルカフェ方式まで、全国80カ所以上に広がることになりました。
最近の医師は、病状や余命宣告を重く言う傾向があるといいます。その理由は、病状が急変しても、遺族に非難されないためです。これは仕方のないことだと思います。
また、患者との対話では、正論より配慮が求められるのですが、患者との対話の仕方を知らない医師も少なくありません。日本の医学部教育には「対話学」というものが存在しないからです。
患者と医者に信頼関係があれば、同じ内容の話であっても患者が傷つくのを少しでも避けられます。何を言われたかより、「誰に言われたか」が 大きく肩にのしかかるものです。
「がん哲学外来」は、治療法に迷い、再発や転移に不安を抱える患者や家族たちとの対話を掲げたことから、言葉の処方䇳と呼ばれています。本イベントは、がんに興味のある方なら、どなたでも参加していただけます。
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