2016年2月25日(木)
円周率と、3.14
気になるけどスルーしよう、と思ってましたが、
まだけっこう熱がありそうなので、えいやっと書いてみるのです。
問題は次の通り。
まるまる引用はしたくないのですが、厳密性を期すために
そのまま転写します(引用元はあえて書きません)。
答えとしては、11×11×3.14=379.94となっていて、
これは誤りだ、と提起者は主張しています。
ぼくの立ち位置としては、「379.94で正しい」です。
「約」も「およそ」も要りません。
「379.94で正しい」です。
ただし、ひとつ注意が必要で、
「広いとは、3000平方km以上のことである」という定義があるなら、
もひとつ、実際にはGoogle先生によれば
「東京都の面積は3000平方km以上である」は偽となります。
さて、元の問題に戻りましょうか。
命題B:「半径は11である」
しかし、授業で教わったことのみを用いなさい、という
小学校の慣習に従えば、円の面積はこれしかありえないでしょう*2。
さて、この3つの命題から得られる結論は何でしょうか。
結論D:「円の面積は、11×11×3.14である」
概数など一切登場していませんから、答えは379.94です。
以上が、ぼくの主張です。
……ところで、何が議論の対象となっているのでしょう。
円周と直径の比である円周率は、
と表される超越数に一意に定まります。
ですから、それ以外の値を用いても、
真の意味での円の面積は算出できません。
半径11の円の面積にはなりえません。
このことが強く指摘されているのだと感じています。
結論Dが真である保証はどこにもありません*3。
偽になったら価値はないのか?
偽となる結論は有害なのか?
これは、数学的に正しいやり方です。
少なくともぼくは、そう考えています。
数学的には正しいやり方なのですが、
この問題、一番スマートなのは、
誤差に対する意識がかなり違うと感じています。
ここからはぼくの体感による主張となってしまいますが。
数学は、誤差が「あるかないか」だけに着目し、
科学・工学は誤差の「大きさ」に着目します。
有効数字を用いて誤差を減らそうと試みるのは、
科学・工学の考え方です。
数学において近似するときは、
ではなく、
のように表すことが多いです。
そういったことに興味がある印象です。
誤差というのは用いるけれど、微分積分や無限大の概念によって、
最終的には厳密な結果が得られるケースが多いです。
2点間の傾きというところから極限を使って誤差を消していく感覚。
有限項で打ち切ってしまうことで誤差が生じるわけです。
打ち切る場合にも、誤差項というのを付け加えたりしますよね。
実際の実験データとどれだけ精度よく一致するか、が基本姿勢なので、
その外壁の15m以上分の材料が不足してしまうわけで。
どこまでの誤差が許されるか、1cm単位で良いか、などを
意識した上で計算しなければなりません。
なので、単純に有効数字を使えば精度がよくなるわけではなく、
で、それを踏まえれば、最終結果が1の位までの精度をとるとして、
半径約11.0と円周率約3.14から面積約380が算出されます。
この問題には「約」とか「およそ」とかの概数表示が一切なく、
11.0のような有効桁表示もないわけなので、
誤差は存在しないとして扱えと、ぼくは感じるのですよね。
間違っていると考えられる前提から議論を始める
その前提から正しい議論を進めると、
途中で矛盾が生じ、前提が間違っていることが判明するので、
内接する多角形の辺の長さの合計が円周を超え、
それはおかしい、となるので、
考えるだけ無駄じゃないか、
そういうスタンスではありません。
その前提から明らかになるわけです。
……あ、というわけで、
別に「こっちが正しい!」と強く言いたいわけではなく、
考え方にイラっときただけなのでした。
たぶん、提起者の人たちには
これを読んでも理解してもらえないのでしょうけど、
ぼくはこういう理由で「379.94で正しい」*4の立ち位置を
とっているのだということが少しの人にでも伝わればいいなと。
ちなみにですが、
0÷0は定義できませんし、
かけ算の順序など好きに変えてください、
算数って、そんな厳しく正誤をつけなくても、
発想の仕方を身に付けるだけでいいのになと思う今日この頃。
もっとのびのびと楽しい、「数楽」みたいな感じでやれば、