「エントリーシート10万通」が意味するもの
ことしも大学生や高校生の就職活動が始まる。それに先駆け、政府の規制改革会議は2月22日、東京・霞が関で「多様な働き方」をめぐって公開ディスカッションを開いた。就職・転職は新卒に限らず、人生の大きな選択だ。良い職場を選ぶためには、何が必要なのか。
参加したのは、厚生労働省をはじめ日本労働組合総連合会(連合)、経済界の代表や就職事情に詳しい有識者、経営者らだ。会議の模様はインターネットで中継され、私は司会を務めた。そこで印象に残った点を報告しよう。
私が印象深く聞いたのは、就職関連ビジネスを展開している寺澤康介「ProFuture」代表取締役社長(中央大学大学院戦略経営科客員教授)のプレゼンテーションだった。以下、関連資料は内閣府のホームページ(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/discussion/160222/gidai/agenda.html)で入手できる。
寺澤氏によれば、かつては例えば20人の採用枠に800人程度の応募者があった企業に、いまはエントリーシート(ES)で10万人の応募があるという。競争率にすると、40倍から5000倍に跳ね上がった形だ。
ただし競争率が5000倍になったからといって、会社が応募者全員のESをていねいに読んでいるわけではない。実際には大学名で足切りして、重点的に採用する大学(ターゲット校)からの志願者をふるいにかけているのだという。
その結果、何が起きるか。
学生たちは時間をかけ工夫を凝らしてESを書いたとしても、多くは徒労に終わってしまう。なにせ読んでくれないのだから。
それでも多くの企業は「大学名で足切りする」と表立って言わないので、学生たちはせっせとESを書くはめになる。
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