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消費増税、首相発言で臆測 予定通りか再び延期か

2016/2/26 1:16
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衆院財務金融委で答弁する安倍首相。右は麻生財務相(24日)
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衆院財務金融委で答弁する安倍首相。右は麻生財務相(24日)

 2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げを巡り、安倍晋三首相の発言が注目を浴びている。首相は増税を先送りする状況として「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態」と述べてきたが、年明けから「世界経済の大幅な収縮」とも言い始めた。財務省や内閣府は「増税の判断は変わらない」とするが、与党内では増税先送りや、夏の参院選と合わせた衆参同日選の臆測もくすぶる。

 「再び延期することはない」。10%への増税について、首相は繰り返してきた。そもそも15年10月に実施するはずだった消費増税を、首相は14年秋に衆院解散とともに1年半延期。経済情勢で増税を見送る「景気弾力条項」もなくし、背水の陣を敷いた。

 その後の国会答弁でも「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施する」と強い決意を語ってきた。

 答弁がやや変わったのは1月19日の参院予算委員会。共産党の小池晃氏が「リーマン・ショックのような事態とは具体的にどういう事態か」と尋ねると、首相は「まさに世界経済の収縮が実際に起こっているか、専門的見地から分析し判断していかなければならない」と応じた。

 政府関係者によると、小池氏の質問は事前に通告がなかったという。首相は財務省や内閣府が用意した答弁ではなく、自ら言葉を選んだようだ。その後、首相官邸からは各省庁に「今後はこの言い回しを使うように」と指示が出された。

 今月24日の衆院財務金融委員会でも首相は同じ表現を使った。首相周辺や、財務省と内閣府の幹部は「リーマン・ショックとはどういう事態かを説明しただけ」「増税判断に新たな条件が加わったわけではない」と一様に説明する。

 なぜか。首相はこうした答弁で増税先送りの条件に関して「単に個人消費の落ち込みではない」「株価の変動幅のみではない」とも強調したためだ。消費低迷や株価下落を理由とした増税の先送りはせず「世界的な危機以外は必ず上げる強い意志」(経済官庁幹部)と受け止められている。

 一方、与党内には首相発言について「消費増税先送りの意図ではないか」との見方もある。当選2回の自民党議員の一人は25日「市場だけでなく、地方経済も実態は厳しい。増税先送りを示唆したのでは」と指摘。17年4月に消費増税と軽減税率導入を公約している公明党幹部は「増税延期はありうべし、とにおわせている」と警戒する。

 背景には、夏の参院選を前に広がる経済への不透明感がある。自民党の稲田朋美政調会長は、現時点で経済対策は必要ないとしながらも「市場が乱高下しているのは事実で不安もある」と表明。党幹部の一人は「経済状況は変わってきている。増税先送りは選択肢の一つ」と述べた。

 増税先送り論と共に浮上するのが、衆院解散・総選挙と絡める声だ。民主党幹部は首相発言について「増税先送りの具体的な基準がはっきりしない」と指摘しながらも「見送りを争点に衆院を解散する可能性はある」との見方を示した。

 自民党のベテラン議員も「増税の再延期はない、との公約を撤回するなら解散してもおかしくはない」と語った。参院選が近づくにつれ、首相の一言一句にさらに注目が集まりそうだ。

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