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【歴史戦 第15部 日韓合意の波紋(下)】
「日本に外交戦で負けた」 韓国社会にくすぶる不満を晴らすかのような出来事が…
「韓国内では慰安婦をめぐる合意は、日本に外交戦で負けたと認識されている。その不満をぶつけ、留飲を下げる対象が必要なのだ」
韓国のある弁護士は慰安婦問題をめぐる責任追及が、これまでとは違う形で韓国内で激しさを増している理由をこう説明する。日本政府との間で昨年12月28日に「合意」したことによって当面、韓国政府は元慰安婦への謝罪や賠償を対日要求の前面に据えにくくなったからだ。
韓国社会にくすぶる不完全燃焼感を晴らすかのような出来事が今月、起きた。
慰安婦問題を扱った学術書「帝国の慰安婦」(日本語版は朝日新聞出版から刊行)で、元慰安婦らの名誉を毀損したとして刑事・民事で法的責任を問われている世宗大教授の朴裕河に対し、韓国の裁判所が大学から支払われる給料の差し押さえを決めたのだ。