中学歴史と公民「育鵬社」閲覧は教育長も
中学校の歴史と公民の教科書を作成する「育鵬社」(東京都)が、どの教科書を使うか決める「採択権限」を持つ教育長6人に、検定中の教科書を閲覧させていたことが同社への取材で分かった。一連の教科書問題で教育長の閲覧が明らかになるのは初めて。文部科学省は採択の公正性に疑念を持たれる行為だとして調査している。
育鵬社によると、先月、「2014年度に35人の教員らに検定中の教科書を見せた」と文科省に報告したが、このうち6人が教育長だったことが新たに判明した。6人は当時、福井▽大阪▽広島▽山口▽愛媛の1府4県にある6市の教育長。いずれも謝礼は支払っておらず、同社の教科書を採択した市はないという。
同社は「教育長は教育行政のプロ中のプロで、よりよい意見を聞くことができると思った。採択が目的ではなかったが、不適切な行為で深く反省している」としている。【佐々木洋】