[東京 25日 ロイター] - 信託銀行の日本株の現物買いが急拡大している。2月第3週には集計開始以来、過去最高の約5000億円となった。信託銀行経由の売買は、国内年金の動向を示すとされる。日経平均 1万5000円割れを受けて買いに動いたとみられている。3月期末の株価水準を意識した動きとの見方も出ており、期末にかけて年金買いが続くとの期待もある。
東京証券取引所が25日発表した東京・名古屋2市場の投資部門別売買状況によれば、信託銀行は2月第3週(2月15日─2月19日)に現物株を4999億円買い越した。買い越し額は、1998年4月第1週の4833億円を上回り、過去最高となった。
日経平均は2月第2週(2月8日─2月12日)に急速に水準を切り下げ、12日には終値で2014年10月21日以来、約1年4カ月ぶりに節目の1万5000円を下回った。2月第3週には急速に切り返し、1万6000円を回復したが、年金買いが支えたとの見方が多い。
大和証券チーフグローバルストラテジストの壁谷洋和氏は「週間の日経平均の値動きと信託銀行の売買の傾向をみると、見事に逆相関となっている。国内年金が信託銀行を通じて機動的に動き、下値を買い支えたのだろう」という。
市場では、前週に続いて今週も「1日当たり1000億円規模で年金買いが観測されている」(外資系証券トレーダー)との見方が出ている。年金資金は基本的に下値を支える傾向があるため、日経平均1万6000円割れの水準は買いとの見方が市場では強まっている。
また3月期末を見据えた動きとの見方もある。足元の日経平均は昨年度末の1万9206円に比べて、15%程度低い水準にある。仮にこのまま期末を迎えると年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の日本株運用で5兆円弱の損失が出かねない。
市場では「3月期末の運用報告書が出るタイミングは例年7月で、今年は参院選前に当たる。政府サイドとしては選挙直前に批判材料を避けたいのは当然で、3月期末にかけて官製相場が強まりそう」(準大手証券)との声が出ている。
(杉山容俊)
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