70秒停車後、急発進…防犯カメラに映像
大阪・梅田の繁華街で起きた暴走事故は、運転していた男性を含め11人が死傷した。事故の直前、現場の西約150メートルのビルに設置された防犯カメラが、死亡した大橋篤さん(51)が運転していたとみられる乗用車の様子を捉えていた。大勢の通行人が行き交う歩道の脇に車がゆっくり停車し、その約1分10秒後に急発進する不自然な動きをしていた。
映像によると、車は片側4車線の左端の車線をゆっくり東進して停車。ハザードランプを付けてその場に約1分10秒間とどまった。その後に急発進し、道路脇の縁石やガードレールにぶつかりながら直進。現場の交差点を暴走して歩道に乗り上げ、次々に通行人をはねた。花壇にぶつかって止まった。
交差点を歩いていたフラワーデザイン教室講師の女性(56)は、目の前で事故を目撃した。フロントガラス越しに見えた大橋さんはハンドルを握らず、両手が垂れ下がっていたという。「運転席にもたれかかり、気を失っているように見えた」と話した。
会社員の男性(22)によると、車内の大橋さんは運転席で目を閉じて口を開き、ぐったりした様子だったという。交差点内では通行人の男性が5、6メートルはね飛ばされた様子も目撃した。また、別のアルバイトの男性(47)は「ブレーキの音は聞こえず、時速40キロぐらいは出ていたのではないか」と話した。
大橋さんが経営するビル管理会社によると、大橋さんはこの日午前9時過ぎに車で会社を出た。奈良県王寺町の公立幼稚園に立ち寄った後、大阪・梅田に向かったとみられる。
大橋さんのツイッターによると、正午過ぎに西名阪道の柏原本線料金所(大阪府柏原市)を通過した後、阪神高速の松原線や環状線を走行。午後0時半過ぎに梅田出口から一般道に降りて、現場付近に着いたとされる。約30キロの道のりを普通に運転していたとみられ、事故直前までは体調に異変はなかった可能性が高い。
大阪府警は大橋さんが事故の直前に体調を崩し、意識を失った状態で事故を起こしたとみて調べている。