DDoS 攻撃の標的とされやすいのは、人権や国際的政治的な内容を多く扱うニュースサイト。現在米国では大統領選の予備選挙が白熱化していますが、過去には中央選挙管理委員会のサーバーがDDoS攻撃によってダウンさせられたなどという事件もありました。ほかにも、ガイ・フォークスの面で知られる Anonymous といった団体、さらにはテロリストや国家機関と思しきところを発信源とする DDoS 攻撃が世界中でたびたび発生しています。
Google は2013年、こうした攻撃に十分な対策を取ることができない小規模なニュースサイト、特にGoogleにニュースコンテンツを提供するサイトを保護するという名目で、Project Shield を開始しました。といっても、これまではベータテストとして政治的な内容を扱うニュースサイトなどに限定した招待制でした。今回、そのベータテストがようやく終了し、あらゆるニュースサイトが登録可能となったわけです。
Project Shield は、登録したニュースサイトが使うための DNS(Domain Name System)を提供します。IPアドレスとドメイン名のひも付けを記したデータベース)を Google の指定する DNS に切り替え、さらにニュースサイトのサーバーの前にリバースプロキシーサーバーを置くことで、そのニュースサイトに向かう DDoS パケットを阻止します。
リバースプロキシーサーバーは PC ブラウザー(クライアント)の代理としてウェブサーバーにアクセスする一般的なプロキシーサーバーと異なり、ウェブサーバーの代わりにクライアント側とのやり取りを代行します。よってウェブサーバーの本当の所在を隠すことができ、数を揃えれば負荷分散も可能。さら飛んでくるデータパケットをスキャンし、その中から悪意あるものを除外する処理を加えたりもできます。
日本でも年に数回は DDoS 攻撃の被害が発生しています。最近では、ASCII.jp が1週間に渡ってアクセスできなくなる問題が発生していました。これは後に Anonymous が日本のイルカ漁に対する抗議だとして Twitter に声明を発表したものの、いささか御門違いだった印象は拭いきれません。