突然ですが皆さん、バレリーナドリルというのをご存知でしょうか。
そう、90年代に流行った「がんばれゴエモン」シリーズの中でも不朽の名作、
がんばれゴエモンきらきら道中~僕がダンサーになった理由~
というタイトルだけでも懐かしくて震えるゲーム中に人気キャラクターであるエビス丸のアイテムです。
これです。
エビス丸がバレリーナに扮し、回りながら穴を掘るという最高の技ですね。
ゲームとはいえ、バレリーナ+ドリルというリアルにあるもので構成されたこの技、頑張れ出来るかも?と幼心に思っていました。
ということで、もういい大人になったので今こそ夢を叶えたいと思います。
ドリルシューズを作ってみよう
穴を掘るにはドリルがないと掘れません。まずはバレエのトゥシューズに合うドリルを用意します。今回用意したのはこちらです。
ドリルといえばグレンラガン。ということで、超合金シリーズのグレンラガン漢のドリルセット用意しました。
パッケージには“俺のドリルは天を創るドリルだぁ!”と書いてあります。
すいませんGAINAXさん、今回は天を創ることは難しそうです。
このトゥシューズの先端にドリルをつけます。中から穴をあけてネジでくっつけるという方法を考えたんですが、履いた時につま先が痛いのでは?という事も考慮し、無理やりくっつけます。
接着材はこちら
トゥシューズの先端が木になってるっぽいのでこれを選びました。
コーティング用にこちら
接着した周りを固めるのはエポキシパテ。割れた金属や陶器を修繕するのに使うそうです。
早速ドリルをくっつけてみましょう。
ドリル。
完全に形も大きさも丁度いい。トゥシューズにくっつけるために作られたのでは?と勘違いするレベル。
装着面の余分な所を切る。
切ったら空洞ができたので接着面を多くするために空いた所に適度なもので補います。田中に意味はありません。
接着剤でくっつける。
くっついた
この時点ですでにっぽさがでて嬉しくなりしばらく眺めてしまいました。
これに強度をつけるためにパテで固めます。
パテを少しずつ切り
こねてくっつけます。
出来た。
凄く冗談みたいなものが出来て感動しました。これでバッチリです。
プロのバレリーナとご対面
穴を掘るために葛西臨海公園に来ました。穴を掘っても怒られない所を考えたら海がある浜辺だったら怒られないのでは?と考えたからです。怒られたくない。
プロバレリーナの登場
水谷彩乃
3歳でバレエを始め、日本ジュニアバレエ、AMスチューデンツ(26期生)にて牧阿佐美や豊川美恵子、牧阿佐美バレエ団に師事。 関東国際高校演劇科にてミュージカル、ジャズダンスを始め様々なジャンルの踊りを学ぶ。
09年ベラルーシ国立バレエ学校に留学、11年同校を卒業。
11年よりベラルーシ国立ボリショイ劇場に在籍。全演目に出演。
帰国後はフリーダンサーとして活動中。 2015年4月Japan Dance Innovation "プレミアム・ダンス・ガラ"、2015年東京小牧バレエ団"Vision street wear" web CM 等に出演。
つまりガチのプロバレリーナ。
僕とは高校の先輩後輩という間柄です。こんな企画に来てくれてありがたい。
ちなみにこれまでの経験の中で、穴は掘った事ないそうです。
何でこの企画に賛同してくれたのか?
「せっかくだから」という理由で観覧車でインタビュー
”バレエ”というだけで一般の人からはお高いイメージと思われる。なのでここ近年は客足は遠のくばかりで芳しくない。だけど、海外のバレエダンサーが街中でバレエ踊ってみるとか、全裸でバレエを踊りドローンで隠すなど、色んな人が見て楽しめるような動画を公開してる。自分自身もバレエがより身近になるように尽力していきたいそうだ。
街中で踊るやつ
A Kind Drone 〜親切なドローン〜 (FULL ver.)
ドローンで隠すやつ
どれも世界初の試み。確かにプロの人がガチでやったら説得力はあるだろう。
ちなみに今回、バレエのターン(回るやつ)で穴を掘るという行為は16世紀からあるバレエの歴史の中で恐らく初めての事であろうということだ。
つまり水谷彩乃さんは長いバレエの歴史の1ページに、名を刻むということになる。これほど名誉なことはないだろう。
いよいよ掘る、そして破損
葛西臨海公園の奥にある浜辺に到着する。いよいよ穴を掘るのだ。夢に見た、グレンラガンのドリルで。
ドリルシューズとご対面
ここで満を持して作ったドリルシューズを見ていただきます。
笑ってる
これが面白いのか苦笑なのかは分からないが、気にいってくれたようだ。
バレリーナとドリルシューズが出会う、歴史的瞬間である。
回るからには普段の稽古着で踊りたいということで、着替えていただきました。
戻ってくる途中で、「バレエっぽく帰ってきて!」という無茶振りに快く受けてくれる彩乃さん。
今この瞬間、世界で一番バレリーナの無駄遣いをしているなぁと思いました。
掘ってみる
足にドリルを履くバレリーナ
履いた感じは「思ったより違和感はない」とのことです。見た目は違和感だらけですが。
ドリルをいざ地面(砂浜)に刺し、いざ回転。
おぉぉ……回った……!しかも回ったらちょっと沈んだ!掘れてるっぽい!
「あのー・・・先輩」
「ん?なに?」
「壊れちゃいました」
がーん
気持ちいいくらいに壊れてる。
何という事でしょう。回る前につま先立ちで何回も試し試しやっていたとはいえ、およそ1回転で破損してしまいました。
どうやら軸が取り辛く、回りにくいようです。穴を掘るにはプロでも難しいらしい。
少し掘れた
でもめげない
こんなこともあろうかと、修繕グッズを持ってきておきました。
後輩にはかなり申し訳ないなーと思いながら接着します。ほんとにごめん。
更に強度をつけるために再度パテをつけます。
回る人と回らせる人の共同作業
乾くまでグレンラガンを見てもらいます。
このアニメのドリルなんだよ!すごいおもしろいんだよ!と言ったら、
「ふーん」って言ってました。
なんかごめんね。
乾いたので再度チャレンジします
二回目の挑戦、そしてまた破損
無駄にポーズ
今度は方法を変え、彩乃さんの回転を僕が支え、回るのを補助することに。
やってみたけど、支えるのも補助するのも僕が下手過ぎたのでやっぱり1人で回る事に。
プロに迷惑ばっかりかけてる僕。
ちょっと慣れてきたらしい。
おぉ、今度は二回転以上出来てる……!
引き続き回ってもらいます。
結構掘れてるっぽい!
このままいって足全体が埋もれれば最高…
「あっ」
「あ」
「あぁぁ~・・・」
やっぱり壊れた。パテだけでは強度が足りなかったらしい。
呆然とする僕
「彩乃さんさぁ……」
「はい」
「折れちゃったけど、結構掘れたよね…?」
「そうですね……割と掘れたほうだと思います」
「世界初だよね?」
「世界初ですね」
「そうだよね…」
「そうですね…」
ということで、
世界初!穴を掘るバレエダンサー誕生!!!!
壊れたり色々あったけど、子供のころからの夢が叶ったので感無量です。
今回協力してくれた、水谷彩乃さん。これからも色んなことにチャレンジしたいそうなので、穴を掘ってほしいなどの依頼がある場合は連絡してみて下さい。
早速、世界初ドレリーナとしての活動を始めたようです。皆様どうぞよろしくお願いします。
撮影協力
水谷彩乃 (バレエダンサー)
カメラマン
以上、ちょく(直)でした。