Updated: Tokyo  2016/02/25 10:52  |  New York  2016/02/24 20:52  |  London  2016/02/25 01:52
 

IMF報告:G20は大胆な措置を講じる必要、世界成長押し上げで (1)

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    (ブルームバーグ):世界経済の成長見通し悪化に伴い、主要国は需要支援とリスク抑制に向けた新たな方策を緊急にまとめる必要があると、国際通貨基金(IMF)のスタッフが指摘した。

IMFスタッフは上海で26、27両日開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に公表したリポートで、G20の政策当局者は既存の成長戦略を「強力に実行に移すため、今行動しなければならない」一方で、財政出動を通じた需要の協調支援も計画する必要があると指摘。リポートによれば、IMFは4月に公表する次回の世界経済見通しで世界成長率予想をさらに引き下げる可能性が高い。

ルー米財務長官ら当局者は金融市場の動揺を抑制する大規模な国際的取り組みがG20で打ち出されることはないとの認識を示唆しているものの、IMFリポートは中国景気減速や商品相場安に見舞われる世界経済を支えるため、一層の協調を求めて声を強めた。また、難民危機の渦中にある国々の支援で国際的なイニシアチブの検討を呼び掛け、経済以外の衝撃により「大きな影響が広がる恐れがある」としている。

リポートは「リスクを抑制し世界経済を一段と良好な道筋に押し上げるためには、各国と多国間の両レベルで強力な政策対応が必要だ」と指摘。「さらなる生産押し上げに向け、合意済みの戦略を越えて、成功した改革の原則に沿って策定される新しく重要な措置を導入する余地がある」と付け加えた。

アナリストや投資家の間では、1985年にドル相場の押し下げと為替市場の安定のために主要先進国がまとめた「プラザ合意」の現代版を求める声も聞かれるが、リポートは為替市場の動揺に対処する広範囲な措置の推奨には踏み込まず、「国外からの負の衝撃の影響を緩和するために」実行可能な状況では、新興国は為替レートの柔軟性を活用すべきだと提言するにとどめた。

世界経済の主なリスクとしては、先進国市場の長引く動揺や新興国の金融状況の引き締まり、中国経済の予想より急な減速、原油相場の一段の下落を挙げた。

具体的な地域に関する部分では、米金融当局が「賃金や物価の圧力の明らかな証拠に基づいて」利上げする必要性に言及。欧州中央銀行(ECB)はあらゆる利用可能な手段を全て行使する姿勢を示し続けるべきであり、日本は「財政や構造、大胆な所得の政策」でマイナス金利を支えるべきだとした。

昨年8月に人民元の事実上の切り下げで投資家の意表を突いた中国当局に対しては、「為替政策に関する明確な意思伝達」を確実にし、成長が過度に鈍化した場合には「予算内での財政刺激策」を検討すべきだとした。

原題:G-20 Needs to Take Bold Action on Global Growth, IMF Report Says (抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Scott Lanman slanman@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net

更新日時: 2016/02/25 07:37 JST

 
 
 
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