(英エコノミスト誌 2016年2月20日号)
デフォルトを回避するのは難しくなりつつある。
深刻な物資不足に陥るベネズエラで、首都カラカスのスーパーマーケットに長蛇の列をつくって並ぶ人たち〔AFPBB News〕
誰かがベネズエラの信用力を問題にするたびに、同国のニコラス・マドゥロ大統領は、自身の政権は一度も債務の返済を怠ったことはないし、これからも決してないと反論する。マドゥロ氏の前任者で師であった故ウゴ・チャベス氏も同じことを言っていた。債権者たちは、その約束を信じることに対して多額の見返りを要求している。2020年に満期を迎えるベネズエラのドル建て債券の利回りは37%にのぼる。
債券保有者の信頼が間もなく試される。ベネズエラは2月26日、主に新興国の債券を専門とする投資家とヘッジファンドに対して23億ドル支払うことになっている。
ベネズエラが返済を行うことに、ほとんど疑いはない。その後は、残る640億ドルの外貨建て債券でデフォルト(債務不履行)するリスクが急激に高まる。
デフォルトは時間の問題
ベネズエラ政府とベネズエラ国営石油公社(PDVSA)は2016年下半期に、債権者に60億ドルを支払うことになっている(下図参照)。事実上ベネズエラ唯一の輸出品である重油が1バレルわずか25ドルで売られているため、ベネズエラの主な外貨獲得源は枯渇しつつある。「今はデフォルトするかどうかではなく、いつデフォルトするかという問題だ」と投資銀行ラティンベストのラス・ダレン氏は言う。
ベネズエラの石油が最近の安値で推移すれば、同国は今年、輸出で220億ドル稼ぐだろう。2012年実績から77%減少する計算だ。政府はこれまで、輸入を2012年の半分まで制限することで対応してきた。それが物価統制と複数の為替レートの奇妙なシステムと組み合わさることで、コメやトイレットペーパーといった生活必需品の不足をもたらしている。社会の爆発を誘発せずに輸入をさらに圧縮する方法は想像しにくい。
輸入が最低水準にある中でも、ベネズエラは今年、300億ドルを超える資金ギャップを抱えると見られている。
ベネズエラが持つ520億ドル相当の売却可能資産は、急激に縮小している。同国の外貨準備の大部分は中央銀行の金庫室に保管される金だが、これは厄介な支払い手段だ。
チャベス氏は、愛国主義的なジェスチャーで、国外の保管場所からベネズエラに160トンの金を持ち込んだ。今は、少なくとも27トンが債務返済のために海外へ送り返されたと考えられている。