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 医師に異状死の届け出を義務づけた「医師法21条」について、日本医師会は24日、届け出義務の対象について、医師が「犯罪と関係があると認めたとき」と明示する改正案を公表した。現在は対象があいまいで、医療現場が混乱しているなどの指摘を受けたという。

 改正案ではこのほか、医師の倫理に基づいて報告するのが基本理念とし、届け出義務に違反したときの罰則規定(50万円以下の罰金)を削除する、とした。

 医師法21条は、死体や、妊娠4カ月以上の死産児を検案して異常を認めたときには、24時間以内に警察に届け出ることを医師に義務付けている。福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性が死亡した事故では、手術した医師が業務上過失致死と医師法21条違反の疑いで逮捕され、その後無罪判決を受けた。医師からは、異状死の範囲を明確にするよう求める声があがっていた。

 医師会は改正案を盛り込んだ提言のなかで、医師法21条は本来、殺人や傷害致死など重大な刑事犯罪の捜査の端緒を得やすくするために定められた、などとしている。

 昨年10月に始まった医療事故調査制度は、医師が「予期せぬ死」と判断すれば、第三者機関に届け出ることを求めている。医療界には医師法21条の届け出義務との整理を求める声もあり、今年6月までに、医師法21条のあり方も含め、制度を見直すことになっている。(武田耕太)