日本政府は、スイス・ジュネーブで16日に行われた国連女子差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦の強制連行説を完全否定し、朝日新聞の大誤報が強制連行説の広がりに大きな影響を与えたと説明した。一部左派勢力の執拗(しつよう)な妨害・攻撃を受けながらも、前日のプレワークミーティングに出席して発言した、杉田水脈(みお)前衆院議員に聞いた。
「私が話したのは、昨年末の日韓合意では『強制連行の証拠はなかった』としているが、(1996年に国連人権委員会で報告された)クマラスワミ報告書には『20万人の韓国人女性が強制的に性奴隷にされた』とある。この矛盾を日本政府は明確にすべきだという点です」
杉田氏は帰国直後、夕刊フジの取材にこう語った。プレワークミーティングには、主婦による正しい歴史を次世代につなぐネットワーク「なでしこアクション」の山本優美子代表も出席し、発言した。
こうした後押しも効いたのか、政府代表である外務省の杉山晋輔審議官は翌日、強制連行説は吉田清治氏による「捏造」と断定するなど、クマラスワミ報告書の内容を否定した。
だが、前途は必ずしも明るくない。日韓合意に「(両政府は)今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える」とあるからだ。
杉田氏は「外務省は当初、クマラスワミ報告書も否定し、『性奴隷ではなかった』と説明する長文の報告書を作成していたと聞きました。ところが、日韓合意を受けて、口頭での短縮された説明となったようです」と語る。
報告書が書面で提出されれば、国連のHPにそのまま掲載されるというが、杉山審議官の口頭での説明は、いまだに掲載されていない。
杉田氏は、国連で左派団体の影響力が強いことも、指摘した。
「プレワークミーティングでも、われわれに与えられた時間は各1分ですが、左派系のNGO(非政府組織)の中には1人5分のところもありました。左派系NGOの中には『コンサルティブ・ステイタス』という特権を持つ団体もあり、国連委員とランチミーティングできるなど、アピールの機会がわれわれより断然多く、有利でした」
左派系とみられる勢力の、妨害や攻撃も続いているという。
杉田氏は「ツイッターで国連の状況を報告しただけで、『レイシスト』(人種差別主義者)などと批判されました。論点をすり替え、レッテル貼りをして、私たちの発言を封じ込める意図でしょうか。『言論弾圧』という言葉が頭に浮かびました。私は負けません。慰安婦問題が解決されるまで頑張ります」と語っている。 (ジャーナリスト・安積明子)
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