「ストレスが減る」「疾病のリスクが減る」などの効用がうたわれる瞑想が近年注目されており、スティーブ・ジョブズが実践していたり、Googleが社内研修で取り入れたりしています。一方で、科学的見地から十分な根拠が示されることが少なかった瞑想ですが、新たな研究によって科学的に見ても人の脳を変化させていることが明らかになりました。
How Meditation Changes the Brain and Body - The New York Times
http://well.blogs.nytimes.com/2016/02/18/contemplation-therapy/
Alterations in resting state functional connectivity link mindfulness meditation with reduced interleukin-6: a randomized controlled trial
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006322316000792
Biological Psychiatry誌で発表された研究内容によると、「今この瞬間自分が体験していることに意識を向ける」という「マインドフルネス」や瞑想が、プラセボ効果でなく、実際に人々の脳の状態を変えたり健康状態を改善している可能性があるとのこと。
研究を率いたのはカーネギーメロン大学のヘルス&ヒューマン・パフォーマンス研究所の代表であり心理学准教授のJ.David Creswell氏。瞑想の研究で難しいのはプラセボ効果の影響があることですが、今回の研究では、被験者を「正しく瞑想の方法を学んだチーム」と「正しく瞑想の方法を学んだと思っているが実際は間違った方法を教えられたグループ」に分けて行われました。
被験者として選ばれたのは求職中でストレスを抱えた男女35人。被験者らは最初に血液検査と脳スキャンを行った後に2つのグループに分けられ、一方は正しい方法で、もう一方は「リラックスしストレスをなくす」と伝えられニセの瞑想を行いました。例えば、このとき両方のグループはストレッチするように言われたのですが、前者は例え不快なものであっても自分の体の変化に注意を払うように伝えられ、後者はリーダーがジョークを言ったりおしゃべるすることが推奨されたりして、体に対して注意が払われないようにされたとのこと。
byAmy
3日後、参加者全員が研究者に「気分がリフレッシュされ、失業のストレスに耐えるのに役立った」と語りましたが、脳スキャンの結果、脳のうちストレス耐性に関連する部位が活発化し、その他のエリアが穏やかだったのは、正しい瞑想の方法を学んだグループのみでした。さらに4カ月後、正しい瞑想の方法を学んだグループは、瞑想を続けている人が少なかったにも関わらず、ニセの瞑想を学んだグループよりも血液検査で炎症のレベルが低いという結果になりました。
上記の点について、Creswell准教授は脳の変化が炎症の減少に役立ったと考えているとのこと。また今回の研究では3日間にわたって瞑想が行われましたが、現時点ではまだ、効果を得るのにどのくらいの瞑想やマインドフルネスが必要なのかは不明となっています。
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