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2011.10.22
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2011/10/22
東北福光新聞
第8号
希望を紡ぐ日々

両親を亡くした甥と共に、人々の幸せに尽くす生き方を誓う

 今回に震災で、両親共に失った子どもたち、いわゆる震災孤児は、二百数十人に上るという。
 石巻市内のアパート。小学4年の相澤寿仁君は、朝6時になると、眠い目をこすりながら1階に下りてくる。叔父の島吉宏さん(第2宮城総県石巻躍進県・渡波支部、男子部員)が作った朝食を食べ、7時すぎには、家を出る。アパートから学校へはかなり距離がある。島さんに車で15分ほどかけて送ってもらう。
 学校が終わると、学習塾やサッカー教室。毎日、結構、忙しい。

 震災前まで、寿仁君は両親、祖母、2人のいとこ、そして叔父の島さんと共に7人で暮らしていた。
 島さんが一家でただ一人、学会に入会したのは今年2月。翌3月の11日、震災が起こる。
 料理人だった島さんは、勤め先のホテルにいて無事だった。
 寿仁君は家族と共に車で避難したが、途中で波にのまれた。寿仁君と、いとこの1人は、窓から外に逃れて助かったが、ほかの家族の行方はわからない。
 4日後に、家族の名前を書いたダンボールのカードを手に避難所を回る寿仁君の姿が、毎日新聞に報じられている。「どこにいるの僕の家族…小3、カード手に避難所回り」という見出しとともに。それから数日で家族の遺体が見つかる。
 両親を失った寿仁君には、日本全国そした海外からも、温かい支援の手が差し伸べられた。
 その人生を最終的に引き受けたのは、叔父の島さんだった。勤め先のホテルは被災で職を失った島さんは、再雇用の話しが来ても断った。寿仁君を育てながら、やっていける仕事ではなかったからだ。

 一家の葬儀は、この8月、友人葬で行われ、300人ほどが参列した。
 島さんは、喪主として胸を張って挨拶した。
 「…私の心は、どん底に落ちていくようでした。けど、私は、ほかに、もっと大変な遺族もいるのだからと思い、思わせ、何もないつもりでいました。なぜかというと、創価学会の人は、なぜか、泣く時も笑う時も怒る時も悲しい時も必ず一緒に思い、必ずそばにいるのです。
 …この苦しみ、悲しみを乗り越え、入会間もない私は、最愛の人たち、そして人が幸せになっていく姿を、心から思えるように、広宣流布の人材に成長してまいります」
 寿仁君は、亡き家族への手紙を読み上げた。
 「創価家族の人たちと出会い、僕は全然、さみしくありません。泣きません。僕は、幸せを少しづつ頂いて、今は幸せがあふれ過ぎています。今度は、幸せを頂き過ぎた人にいっぱい返す番です。僕は人の役に立つ、心の命を救える人に必ずなります。
 …毎日、近くで題目をあげています。今まで育ててくれて、ありがとうございました」

 島さんと暮らすようになって一緒に学会の会合に参加していた寿仁君は、手紙にあるように、今、創価家族の一員だ。たくさんのお父さん、お母さんがいる。皆が、寿仁君がわが子以上に立派に成長することを願っている。

 島さんと何度か出会いを重ねた後、10月に家を訪ねると、台風の被害を受けた和歌山に、ついこの間までボランティアに行ってきたと言う。
 「石巻が助けられたから、今度は、逆の立場で恩返ししてみたかったんです。車で20時間ぐらいでした。石巻から来たというので、とても感謝されて」
 島さんの隣には、寿仁君が緊張して座っている。
 「学校では一番うるさくて、人気者らしいですよ」。島さんが、寿仁君の左頬に張られている絆創膏をみながら、おかしそうに言う。サッカーの傷口に、毎朝、島さんが張り替えている絆創膏だ。
 「きょうテストを『机の中に置いてきた』って。持ってこないんですよね、『見せる人がいない』って」
 島さんも、寿仁君、これからの人生の厳しさは覚悟している。島さん自身、自分で店を開くために苦心する日々だ。
 「いつかは、僕から離れなきゃいけない。それまでは必死になって応援しようと思って。勤行だって、あえて一人でさせるんです。僕の後ろについてやるより、一人で考えることもあるだろうと思って」
 寿仁君にも聞いてみる。
 -勤行の時には何を祈っているの?
 「創価中学に行けますようにって」
 -創価中学に行った後、何になりたいの?
 「弁護士になる」
 -何でなりたいの?
 「僕、助けられたり、いっぱいしたから、今度は助けたいとと思って」
 その時、寿仁君の頬を見つめていた島さんの目が、じわっと潤んだ。





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Last updated  2011.10.22 10:50:38


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