家具量販店の世界最大手「IKEA」のイスが破損して、手に障害を負ったとして、イスを購入した男性がIKEA日本法人を相手に損害賠償を求める訴えを起こしている事がわかった。訴えを起こした男性から話を聞いた。
大阪市内で飲食店を営むAさん(43)は、右手の親指が曲がらないため、今も包丁をうまく握れないという。
事の発端は2012年12月。新しい店舗をオープンさせる準備のために、Aさんは大阪市内のIKEAを訪れていた。IKEAは北欧スウェーデン発祥の世界的な家具量販店で、デザイン性の高さと値段の安さで日本でも人気となっている。また、購入者自身が家具を組み立てる事が特徴。
24脚のイスを買ったAさんは説明書通りに組み立てたというが、その数日後―。
Aさん「腰かけていたら、10分もしないうちに急にバキッという音とともに座面がガクって下がって、この軸受け、プラスチックの樹脂になっているが、ここの部分が折れて、座面が一気に下に下がってバランスを崩してしまって、右に転倒して、そのときに手をついて脱臼して、親指が反対側に反り返って曲がっていましたので」
手術をしたものの障害が残り、新しく開店した店も半年で閉店を余儀なくされたとAさんは言う。
Aさんの体重は当時98キロ。イスの荷重制限100キロの範囲内だった。
Aさん「IKEAの担当者の方にも『組み立てをこういう形でやりました』という話もしたが、組み立て方には問題がないと(IKEAの)担当者も言っていた」
Aさんは、事故後、国民生活センターに相談。その後、独立行政法人でイスを細かく検査したところ、座面を支えている軸受けの強度に問題が発覚。調査結果によると、このナイロン樹脂でできた軸受けには気泡が多く含まれる事などが原因で、強度が低かった可能性があるという。
また、2013年にもIKEAの同じ製品が破損し転倒する事故が起こっていた。
経済産業省は、今のところリコールなどは必要ないとしている。
経産省の担当者「(Q:このような事態を受けて何か対応?)現時点では当該製品の回収の必要性はないものと判断してはおります。ただ、今後も発生状況については注視をして、消費者の方々の安全確保に向けて対応していきたい」
Aさんは、治療費や慰謝料など約4200万円の支払いを求めて、去年10月、大阪地裁に提訴した。
IKEA側は、先月の第1回口頭弁論では、裁判で争う姿勢を示している。読売テレビの取材に対して「調査の結果、ほかの同製品に問題がなく、リコールする必要はない」とした上で、今後、裁判で具体的な主張を明らかにするとしている。