UXは企業の中でも定着してきたため、UXコンサルタントとしてのクライアントはサービスデザインを依頼することを考えていなくても、「サービスデザインの課題解決」を求めるようになるだろう。
私は、2011年に退社するまで10年以上の間Adaptive Path社で働いていた。辞める前、自分の学んだことについて何通もメールを書いた。最近そのことを思い出し、ここで共有しておくことにした。
2001年にAdaptive Pathが設立された頃、ほとんどの企業にはUXのコンピテンシーはなく、1名でUXの対応を行っている企業はいくつかあったものの、実際にUXチームのある企業はあまりなかった。
そのため、当社が参入すると、ユーザエクスペリエンスを提供する存在になった。クライアントは、成功するためには新たに発生したこの業務が重要だと認識していたが、社内にそれを行う人間がいなかったのだ。
当時、私たちは、戦略や計画、詳細設計、開発の間の領域がぐちゃぐちゃな状態の中で仕事をしていた。UXが登場する前、製品開発は製品定義から詳細設計へすぐに移るのが一般的だった。UX業務において重要だったのは、より多くのシステム思考アプローチを製品開発にもたらし、製品の構造や各部品の関連性、作業の進め方を理解する必要があると認識することであった。
2011年には、ほとんどの企業が適切なコンピテンシーを持つようになり、当社がアーキテクチャやワークフロー、ワイヤーフレームなどを図で示す必要はなくなった。今では企業内にそれを行う職員がいるからだ。
その代わり、UXコンサルティング業務は分岐しているように見える。
UXコンサルティング業務の分岐
一方では、UXは戦略や計画を推進できなくても知らせることはできるアプローチとして認識されている。当社が「大規模で多国籍の様々なクライアント」のために行った仕事は、そんな感じだ。企業は、もはやスプレットシートやチェックリストで製品戦略を推進するだけでは十分ではないと分かっている。研究とエクスペリエンスの戦略も混ぜる必要があるのだ。
もう一方では、UXの実行と提供の新しい方式に対し、新たな要件が発生している。「スタートアップのクライアント」がそれを示している。彼らは、製品がすでに定義されている場合に、どうすればUXを最適に行うことができるかを見いだそうとし、限られた時間の中で、開発側と協力している。
ぐちゃぐちゃな状態の中、Adaptive Pathは最初に優位性を主張したが、コンサルティングサービスとしてはもはや実現不可能に思われる。
私はこの2か月の間、そのことについて人々と話してきたので、先週会社の会議でAdaptive Pathのサービス提供のリフレーミングが発表されたのを見て興味深いと思った。
・エクスペリエンス戦略
・サービスデザイン
・詳細な製品デザイン
1つ目と3つ目は、私が述べている分岐に直接マップする。
会議の後、私は以下のことに気づいた。
service design:2011::ux design:2001
サービスデザインは現在ぐちゃぐちゃな状態で、企業はその必要性に気づき始めているが、社内に提供できる人間がいない。そして、それはUXの世界では人気がなくなってきた種類の提供物(ジャーニーマップ、サービスの詳細計画)に依存しているが、最終的には十分に成長したようで、クライアントは「サービスデザイン」を依頼することを考えていなくても、サービスデザインの課題を解決するために当社にやってくる。
UXの定着とこれからのサービスデザイン
上記のメール以降、この4年間を振り返ってみると、私の予測はかなりいい線いっていたと思う。企業はデザインやUXの会社を買収し、コンサルタントとして行うのは不可能だったぐちゃぐちゃな状態の仕事を行っている。経営コンサルタントは、積極的にエクスペリエンス戦略の領域に移行しており、小規模で機敏なデザイン会社は、うまく製品を提供し、社内のチームを増強している。しかし、UXは台頭したが、サービスデザインはあまり台頭してきていない。2005年までに、UXは企業の投資対象として、しっかりと定着した(Adaptive Pathが本格的に成長したのはその頃だった)。2015年時点では、サービスデザインはまだ特殊な分野のようである。それは企業がまだサービスデザインの購入方法を知らないからだと思う。UXが通常1つのグループから予算が出るのに対して、サービスデザインでは複数部門から予算を引き出さなくてはならないのだ。