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質問書 1、国旗・国歌に対する認識について @日本の国旗・国歌については、昨年「国旗・国歌法」が制定され、名実ともに国内外 に明確に位置付けられたところですが、本年の入学・卒業式の現状を見るとき、国歌 斉唱時の着席はおろか退席する行動をとったことは法治国家における教育公務員にあ るまじき行為であり、公務員法違反と断じざるを得ず、理解に苦しむものてある。 国旗・国歌に対する貴支部としての考え方を、明確にしていただきたい。 A今後、各小中学校で記念式典、入学・卒業式が実施されるが、これらの式典における 教員及び児童・生徒が取らなけれぱならない姿勢、態度について、どのように考えて おられるのかお示しいただきたい。 B先般開催されたシド二ーオリンピックやパラリンピックにおいて、日本の代表選手が 多くの声援と日の丸がうち振られる中、優秀な成績を収め、メインポールに日の丸が 掲げられ、君が代が吹奏されたことは日本人の誇りであります。 メダルを獲得した選手が日の丸を身に纏って手を振る姿に、殆どの日本人は誇りと感 動を持ち、心からの祝福を贈りましたが、貴支都はこうしたことは好ましくない事と 考えているのか伺いたい。 2、ビラ記載内容について @現在の日本の情勢について「米軍艦の民間港への奇港」「日米の合同演習」で、戦争 準情を進めていると記述しているが、本気で日本が戦争しようとしていると考えてい るのか明確にお答えいただきたい。 A「有事法制化」「憲法改悪」へ突き進むと断定している根拠を明らかにしていただき たい。 B貴北教組が理念として掲げている「反戦・平和運勤」は、私達も共感するところです が、「教え子が戦場に送り込まれることを危倶している。」とされているのはどのよ うな理由かを明確にしていただきたい。 C政府は、国家のためと称して「日本のために血も汗も流せる国民」作りを急いでいる と記述されているが、何をもってそのような考えが記述されたのか、現在の学校教育 方針が間違っていると言われているのか明確にしていただきたい。 D更に、上記の理由として「日の丸・君が代」を道具として強制しているとしているが、 国旗・国歌を「道具」というのは、日本の国旗・国歌に対する侮辱てあり公務員とし ての規範に欠ける失格教員と言わざるを得ないが見解を伺いたい。 E学校行事としての入学・卒業式における国旗・国歌の取扱いについては、学習指導要 領でも明らかにされており、「式典には必要ありません。」としているのは式典準備 段階で決定しているものをピラを配布して必要の賛否を問うのは貴支部・明和小分会 の強制とも問われかねませんが、見解を伺いたい。 3、ビラ配布の考え方について @記念すべき明和小開校10周年記念式典で予定されていた国旗掲揚・国歌斉唱を何故 阻止しようとしたのか、その真意を伺いたい。 Aピラ配布に際し、その内容に鑑みるとき、父母や地域の皆さんを対象とし、宅配・手 渡しの方法を取ったことは、教育公務員としての本来の職務を逸脱した行動であり、 住民感情を逆撫でする行為と思うが見解を伺いたい。 以上、明確にお答えいただきたく、文書をもって質問いたします。 自民党北海道第11選挙区支部帯広支部顧問 小野寺 勇 帯広支部長 清水 誠一 帯広市議団 竹内利夫 水野正光 鈴木孝昌 上野敏郎 佐藤勝美 |
2000年11月16日 自民党北海道第11選挙区支部 帯広支部支部長 清水 誠一様 北海道教職員組合帯広市支部支部長 楢山 質問書に対する回答について 過日の明和小での周年式典の折り、北教組帯広支部と明和小分会が連名で地域・家庭に 配布した啓宣チラシについて質問がありました。これについて、明和小分会は、北教組方 針にもとづいて私たち支部の指導のもとに取りくんだものであり、北教組帯広市支部とし て以下のように回答します。 質問書で貴党は、「国旗・国歌」法を最大の理由とし、「学習指導要領」を根拠に、更 には、教育公務員の立場を問題にして私たちの言動を非難しています。 しかし、大切なことは、法律にしても省令にしても、その大前提である「憲法」「教育 基本法」の精神を守らなけれぱならないということです。「憲法」「教育基本法」が戦前 の「教育勅語」による国家のために尽くす「忠君愛国」の教育を否定したことによって成 立していることはご承知の通りです。 私たち日教組・北教組は、かの戦争の反省にもとづき、「教え子を再ぴ戦場に送らない」 ことを誓いとしてきました。これについて心配される情勢となっています。貴党のすすめ る政策は、平和憲法や教育基本法の理念・理想と逆行し、最近は、数のカで憲法を勝手に 解釈し、ついには憲法第9条の「改正」すら主張するまでになっています。そして、森首 相は、日本は「天皇中心の神の国」とまで公言しています。これまで、解釈を変えて堂々 と平和憲法を無視してきたぱかりか、今や、憲法調査会で「改憲」の準備に入っている貴 党が、法を根拠に、私たちの言動を問えるものではないと考えます。 今、世界の国々のほとんどが、学校での「国旗・国歌」の掲揚・斉唱は自由であるのに、 なぜ、日本は、そうではないのかを私たちは問うています。昨年、強引に「国旗・国歌」 法を成立させるやいなや、「学習指導要領」に一層の法的拘束性を与え、従わないものを 処分し、「日の丸・君が代」を強制してくるのはなぜかと考えます。 「国旗・国歌」法は、国民に新しい義務を求めてはいません。それは学校においても同 様のばずです。そのなかて、学校に押しつけてくるのは、国家権力による愛国心の強調が 目的にされているからと私たちは考えます。国家権カが、法をかざして国家を強調すると きは大変危険です。遂には、「国家」と「国家」がぶつかり合って戦争を引き起こしてき たことは歴史の事実です。この反省に立ちながら、「日の丸・君が代」を周年行事や、今 後はあらゆる場面で学校に強制しようとすることについて、今、その危険はないのですか、 と私たちは訴えています。強い愛国心の下、国家のためにと戦争に駆り出されたのは、ま さに、そのように教育された子どもたちや国民だったのですから。 「戦争準備をすすめている」と私たちが言うことについて、貴党は、非現実的と糾弾し ます。であるならぱ、問います。戦後、タブーとされた自衛隊の海外派兵は、貴党により、 「国際協力」の名のもとに92年の「PKO協カ法」で道が開かれました。そして、昨年 は、「周辺事態法」を成立させ、自衛隊を米軍に協カしてアジア・太平洋地域に派兵でき るようにしました。確かに、貴党は、「PKO協力法」の時は、「“非軍事・民生”に限 る」とし、「周辺事態法」でも「戦争に出かけても戦闘行為は行わない」と説明していま す。しかし、戦争場面にあって「戦闘行為は行わない」などということは、いかにも国民 を愚弄した話だと思います。そして、今度は、有事(戦争)に備え、国民の積極的な協カ 体制をつくろうとしているからこそ、国家に奉仕する国民づくりを「日の丸・君が代」教 育によって行おうとしているのではありませんか。周辺事態法の制定により、「米軍艦の 民間港への寄港」が多くなったことについて、また、「日米の合同演習」も装備が強化さ れ、回数も増えていることについて、どう考えても、戦争を避けるために知恵を絞るとい うようには見えません。 この思いにもとづく、私たちの言動について、貴党は「退席行動」を処分し、質問書で は、反国民的思想と決めつけ、「日の丸・君が代」を「道具」と言ったとして「国旗・国 歌」に対する「侮辱」と責めています。「道具」と言う例えの表規にさえ、異常にいきり 立つのは「日の丸・君が代」、すなわち、天皇を神格化し、国家を強調する表れです。貴 党のそのような主張は、戦前・戦中の「非国民」狩りと同様であり、問題です。そもそも、 「日の丸・君が代」に対する思いが、いろいろあってはいけないのですか。私たちは、も ちろんのこと、児董・生徒についても、子どもとして、国民としても思想・良心・信条の 自由が保障されているのです。また、貴党は、組合員が家庭にチラシを配布したとして、 学校に乗り込んだり、記者会見まで行っています。これは、政党による圧カ以外のなにも のでもなく、私たちの一切の運動を根絶しようとするものです。かかる攻撃は、すべての 労働者に保障されている組合活動の自由を侵害するものでもあり、猛省を促すものです。 私たちは、いかなる戦争も否定し、平和憲法を守ろうとするものです。私たちは、戦前 の学校教育が、教育勅語を柱とした「忠君愛国」の思想によって子どもたちを洗脳し、マ インドコントロールして「教え子を戦場に送った」反省に立っています。「戦争に反対で きない」国旗・国歌の強制による国家主義教育の恐ろしさを先人から学んでいます。これ を肝に命じた私たちの運動が、貴党も、質問書の中で、共感すると言われる「反戦・平和」 理念を現代に生かす「日の丸・君が代」強制反対運動に他なりません。「日の丸・君が代」 強制と一体化して国家主義に貫かれた歴史教科書の採択をめざして北教組を弾圧するより は、戦争の反省をしっかりとすすめてほしいのです。私たちは、今後も「教え子を再び戦 場に送らない」スローガンのもと、教職員の良心と責任において、保護者、道民と固く連 帯して「反戦・平和」の運動をねぱり強く、力強くすすめたいと思うものです。 以上 |